第1回口頭弁論
傍聴者 多数。
内容 原告の3教授が支援者の拍手の中,法廷入り。被告・学園側も菱山学長、野村事務局長らが被告席にすわり、傍聴席には、管理職が勢揃いで、法廷の傍聴者席は原告側支援者も合わせて満員で、立ち見がでるほど。原告側弁護士として、増田・小堀・井之脇・森の4先生が出席。被告側弁護士は、仮処分の際の地元鹿児島の弁護士は「解任」されたらしく、金井塚という弁護士親子二人(菱山学長の「友人」とのうわさ)が担当し、この日は息子の方が出席。 まず,原告側はすでに提出してあった訴状について、簡単な説明をおこなった。
当日は、原告を代表して、田尻教授が意見陳述をおこない、被告側は、菱山学長が陳述をおこなった。
田尻教授は、
(1)問題とされている採用人事について、大学の「選考規程」にもとづいて運営されたこと、応募者の中で最良最適な人材であったこと、 (2)八尾先生が将来計画に策定する委員会委員として意見をのべ要望・質問をしたのは当然であること、
(3)委員会の審議・運営に問題があるというのなら、まず教授会・評議会の下に調査機関を設置し、事態の究明にあたるべきであったのに、理事会が教育・研究に直接介入したこと、
(4)大学教員に対する懲戒処分であるにもかかわらず、大学教員の身分を保障した教育基本法・学校教育法およびユネスコ勧告などの精神に反して、必要かつ慎重な手続きがとられなかったこと、
(5)教授会や委員会における発言や判断がただちに懲戒処分の対象になるとすれば大学内の言論の自由・学問の自由が失われること、を静かではあっても心にこもる口調で意見陳述された。
一方、登場した菱山学長(証言台にたとうとしたら、傍聴席の管理職が礼をしたのが印象的)は、
「専門性が学者にとって命」とのべて、そこから「専門性、専門分野での科目適合性」に話をすすめ、これをないがしろにしたら国際的競争にさらされている大学は生き残れないとし、
「基礎理論の面で重なるからなどという、詭弁ともとれる欺瞞的な結論を専門家としての責任のない者の多数決で押し切るようなこと」 (学長は今回の人事をこう理解している)では何の実績もあげられないし、国際競争にも勝てないと指摘。
さらに、大学において死命を決する課題は「教員組織の中に科目適合性を有する専門的人材を擁するか否か」だとして、原告の行為は「科目適合性の否定、専門性、アカデミズムの否定」で「大学に対する、学問に対するもっとも悪質な背信行為であり、無責任で重大な非違行為だ」と述べた。最後に、自分は京都大学で大学の自治を学んできたが、原告の「主査に対する恫喝や怒声・暴言や多数決の強要等の行為の連続」は「大学の真の意味の自治を破壊する行為」だと、これまた、すごい表現で、原告を論難した。
その日に被告側からの答弁書が提出された。増田弁護士のところにも事前にとどいていなかったようで、次回はこの答弁書に対する反論などが行われることになる。それに、仮処分決定に対する異議申し立てが12月25日付けで鹿児島地裁に提出されていることも判明した。この「異議申し立て」は、民事保全法26条によりなされたもので、本案をあつかっている鹿児島地裁の同じ合議部で審査されることになる。
(写真)上段-テレビ局から取材を受ける田尻教授,中段-第1回口頭弁論終了後の支援集会における三教授,下段-支援集会で報告する増田弁護士
田尻教授により「原告側意見陳述」 「被告側意見陳述」のページ
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