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なるほど、大学の教育職員には憲法上学問研究の自由が保障され、使用者といえどもその研究に対して、介入・干渉をすること
は許されないが、そのことから直ちに労働契約において、施設使用権や教授会出席権が権利として認められれていると解すること
はできない。大学の研究者は大学との労働契約において、教育・研究に従事する義務を負担するものと解されるが、憲法上学問研
究の自由を有することから直ちに労働契約上、使用者に対して教育・研究をすることが権利として認められるとは言い難い。労働契
約においては原則として、就労することは義務であって権利でないことは既に述べたとおりであって、具体的・個別的な特別の合意
があるか、または、就労を求めるべき特別の合理的な利益があることなどから黙示的に合意が認められる場合は格別、一般的に大
学の研究者であることから常に教育・研究をすることが使用者に対する労働契約から導かれる私法上の権利であるということはでき
ない。 |