戦後における大学教員の身分に関わる判例集
期限付き雇用と雇止め


(判例一覧)
1 関西学院大学助手解雇事件
神戸地裁尼崎支部
昭和49年7月19日
敗訴
2 法政大学非常勤講師解雇事件
東京地裁
昭和55年6月27日
敗訴
3 旭川大学嘱託専任講師地位保全仮処分事件
旭川地裁
昭和53年12月26日
敗訴
4 旭川大学嘱託専任講師地位保全仮処分抗告事件
札幌高裁
昭和56年7月16日
敗訴
5 八幡大学専任嘱託仮処分事件 
福岡地裁小倉支部
昭和58年5月20日
勝訴
6 大阪工業大学非常勤職員解雇事件
大阪地裁
昭和59年2月1日
敗訴
7 東京音楽大学非常勤講師解雇事件
東京地裁
昭和60年2月28日
敗訴
8 亜細亜大学非常勤講師解雇事件
東京地裁
昭和63年11月25日
敗訴
9 亜細亜大学控訴事件
東京高裁
平成2年3月28日
棄却
10 亜細亜大学上告事件
最高裁
平成2年12月21日
棄却
11 関西外国語大学本訴事件
大阪地裁
平成6年5月30日 
認容
12 大阪学院大学仮処分事件
大阪地裁
平成6年7月13日
棄却
13 静岡理工科大学事件
静岡地裁
平成9年4月16日
棄却
14 名古屋短大仮処分事件
名古屋地裁
平成11年8月30日
棄却
15 奈良芸術短大本訴事件
奈良地裁
平成11年12月15日
棄却
16 旭川大学本訴事件
旭川地裁
平成12年2月1日
棄却
17 奈良芸術短大控訴事件
大阪高裁
平成12年12月21日
棄却
18 鈴鹿医療科学大学仮処分事件
津地裁
平成12年12月26日
認容
19 旭川大学控訴事件
札幌高裁
平成13年1月31日
棄却

 

1.私立大学専任教員の場合


(1) 期間満了をもって契約は終了しないとする判例

判例@
鈴鹿医療科学大学仮処分事件
津地裁
平成12年12月26日

(判決文の中の当該箇所の抜粋)
2 争点2(5年の期間経過をもって本件雇用契約関係が終了したといえるか否か)について

  前記1のとおり、債権者と債務者間において雇用期間を5年とする雇用契約が成立したと認められるのであるが、この5年という期間の定めが、労働契約について1年を超える期間について締結してはならないと定めた労働基準法14条との関係で、どのように解すべきかが問題となる。なお、本件雇用契約は、「大学の教員等の任期に関する法律」(平成9年法律第82号、平成9年8月25日施行)が施行される前に締結されたものであるから、同法の適用がないことはいうまでもない。

  労働基準法14条は、労働者が長期にわたって不当に拘束されることを防止する趣旨に出たものであることからすれば、前記本件雇用契約についてその雇用期間を5年と定めた部分は、同条及び同法13条に照らして期間1年に短縮され、右1年の期間経過後は、期間の定めのない雇用契約となると解するのが相当である。

  債務者は、この点について、右5年の期間は債務者からの解雇が制限されるいわゆる身分保障期間として効力を有するから、5年の満了によって当然に雇用契約関係も終了する旨主張する。しかしながら、身分保障期間と雇用期間とは論理的に別個のものであるから、身分保障期間の満了をもって当然に雇用契約関係が終了すると解することはできない。したがって、債務者の右主張については採用しない。

  以上からすれば、本件契約締結時から5年間が経過した平成12年3月31日をもって、債権者と債務者との間の本件雇用契約関係が終了したということはできず、債権者と債務者との雇用契約関係は、現在においても期間の定めのないものとして継続していると一応認められる。

 

(2) 期間満了をもって契約は終了するという判例

判例@
大阪学院大学仮処分事件
大阪地裁
平成6年7月13日


 

判例A
旭川大学本訴事件
旭川地裁
平成12年2月1日

(判決文の中の当該箇所の抜粋)


 


判例B
旭川大学控訴事件
札幌高裁
平成13年1月31日

判例C


静岡理工科大学事件
静岡地裁
平成9年4月16日

(3) 期間の定めのない雇用契約であると認めた判例

 

 

判例@

 

関西外国語大学本訴事件
大阪地裁
平成6年5月30日 

2.私立大学非常勤教員の場合


判例@

 

奈良芸術短大本訴事件
奈良地裁
平成11年12月15日  

判例A

 

奈良芸術短大控訴事件
大阪高裁
平成12年12月21日

判例B

 

亜細亜大学控訴事件
東京高裁
平成2年3月28日

判例C

 

亜細亜大学上告事件
最高裁
平成2年12月21日

判例@

 

亜細亜大学非常勤講師解雇事件
東京地裁
昭和63年11月25日

判例D

 

名古屋短大仮処分事件
名古屋地裁
平成11年8月30日