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- 2025年10月26日
北海道高等教育研究所創立10周年記念講演・祝賀会 (2025年11月29日)のご案内
↓詳細は,以下のチラシをクリックして下さい。
- 2025年09月15日 ニュースレター第27号を掲載
- 2025年04月07日 ニュースレター第26号を掲載
- 2025年07月25日 ニュースレター第25号を掲載
- 2023年09月30日 ニューズレター第24 号を掲載
- 2023年01月16日 ニューズレター第23号を掲載
声明
北海道高等教育研究所
理事会共同代表 :
姉崎洋一北海道大学名誉教授
市川治酪農学園大学名誉教授
政府は現在開催中の第217開通常国会において、日本学術会議をこれまでの政府から独立した組織から特殊法人へ変更する法案を提出している。この法案及びそれについての政府の概要説明を見ると、その内容にはこちらで下線を付けた部分を含め、以下に見る重大な変更点が含まれている。 まず、この法案では、前文が削除されている。理念や歴史的経緯にあえて触れない者になっている。その上で、会議の設置目的・基本理念について以下の点を挙げ、法人規定を定めている。
・「学術の向上発達」、「社会の課題の解決に寄与すること」(第1章総則 第1条(目的)、・「その運営における自主性及び自立性に常に配慮しなければならない。」(第2条)、「会議は法人とする。」(第3条)、 「会議の資本金は、(中略)政府から出資があったものとされた金額の合計額とする。」(第5条)
この法案提出の「背景と必要性」についての政府の概要説明では、「独立した法人格を有する組織(特殊法人)」とする法制が検討された結果であることが記されている。また提出された法案では、これまでの法制にはなかった以下の機関を置くこととされている。
・「会議に、日本学術会議会員、総会、会長、副会長、役員会、監事、会員候補者選定委員会、選定助言委員会、及び運営助言院会を置く。」(第2章第1節第8条)、「会議役員は、会長、副会長及び幹事とする。」(同2)
・「会員候補者選定委員会は、次に掲げる業務を行う。1. 会員候補者の選定、2. 選定方針の案の作成」(第25条)
・「選定助言委員会は、次に掲げる業務を行う。1. 選定方針の案の作成に関し、会員候補者選定委員会に対し意見を述べること。(中略)3. 選定助言委員は、科学者(会員その他内閣府政令で定める者を除く)であって、(中略)内外の社会情勢又は産業もしくは国民生活における(中略)広い経験と高い見識を有する者のうちから、総会が選任する。」(第26条)
ここに見られるように、これまでは会員が次期会員を選出してきた従来の方法に代え、会員以外の者が影響を及ぼすことを可能とする道を開く内容となっている。また監事の新たな役割が以下のように規定され、その役員の選定には重大な変更点が含まれている。
・「監事は、会議の業務を監査する。」(第19条)、「役員、役員以外の会員又は職員について、不正の行為(中略)、または(中略)法令に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を(中略)当該各号に定める者に報告しなければならない。1.役員に係る場合、会長、総会及び内閣総理大臣、? 会員の場合、会長、会員候補者選定委員会及び内閣総理大臣、3.職員の場合、会長及び内閣総理大臣」(第20条)
・「監事の人数は二人とする。」(第23条1)、「監事は、会員以外の者から、内閣総理大臣が任命する。」(同2)
さらに役員に対し、「それぞれの任務を怠ったときの損害賠償責任」(第33条1. )と「秘密保護義務」(同2. )が新たに付されている。合わせて「中期的な活動計画等」に関する以下の規定では会議運営計画の提出が必要とされ、内閣府に置かれた日本学術会議評価委員会による意見表明が行われる。その結果、内閣府がその活動に関与できる道が開かれることになる。
・「6事業年度についての会議の業務運営に関する計画(「中期的計画」)を定めなければならない。」(第4章第42条1. )、その時には「日本学術会議評価委員会の意見を聴かなければならない。」(同3. )
・「内閣府に、日本学術会議評価委員会を置く。」(第51条1.)、「日本学術会議評価委員会は(中略)、自己点検評価の方法及び結果について、調査審議し、会議に対して意見を述べること。」(同2. の1)、「中期的な活動計画について、会議に対し意見を述べること。」(同2 の2.)
このように日本学術会議法の法律改変の狙いは、会議の活動内容全体を管轄する内閣府の影響下に置くものであり、この結果、日本学術会議がこれまで有していた「運営の自主性と自律性」を損なうものである。また、2020年に菅義偉首相(当時)が起こした学術会議会員6名の任命拒否の場合と同じように、日本学術会議の独立性と「学問の自由」を奪い、学術体制を根本から歪めるものとなることが予想される。
日本学術会議の26期法学委員会が3月17日に取りまとめた「日本学術会議に対する意見書」では、この法案がナショナル・アカデミーの5要件の保障(①国を代表する機関としての地位、②公的資格の付与、③安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性)に反するものであることを明確にしている。
さらに日本の学術会議に該当する世界各国の多くのナショナル・アカデミーは、政府からの独立性と政府による財政的支援が保障されている。今政府が構想している法人化は、このような国際的潮流から大きく逸脱するものと言わざるをえない。 以上のことから私たちはこの法案を撤回し、6名の会員の任命拒否の理由を公表するとともに、日本学術会議への復帰を強く求めるものである。
