設立

北海道高等教育研究所設立総会議案書
(2015年5月22日)

北海道高等教育研究所の創立にあたって

ご 挨 拶

北海道高等教育研究所 代表理事 小 山 修

北海道高等教育研究所の創立にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

北海道私大教連が創立されて以来、北海道における高等教育のあり方を探究しながら、教職員組合の運動が徐々に発展してきました。政府に対する私学助成を求める運動とも関連し、北海道に生きる若者たちの将来を明るいものにするためには、若者たちに高度の教育を受けさせ、自らの将来を切り開いていけるように彼らを育成することが、わが国の民主的な発展をやがて実現するであろうことを願い、高等教育の現実の問題を研究し、将来の社会の担い手を育てるための高等教育に関わる人々の持つ課題を明らかにしていくことが必須であると確信されるようになり、今日、ここに北海道高等教育研究所が有志の力を集めて出発することになりました。

人間社会の未来は、人間と自然に対する深い認識と調和ある生き方を発見して新しい社会のあり方を見出す能力を若い世代に得させることができるか否かに懸かっています。この道は、大きな希望を小さく産んでその芽を大きく育てるために、多数の人々を結集して大きな流れにしていく以外に途はないものと思われます。

日本における高等教育研究所の運動は、すでに東京高等教育研究所や東海高等教育研究所など先進的な範例があります。さらに日本私大教連に結集する各地域の私大教連の研究活動として地道な活動が取り組まれてきました。北海道でも、今日、ようやく高等教育研究所の運動の芽が開いたところです。この芽に人々の手で栄養を注ぎ込み、着実に成長させようではありませんか。

2015年5月22日

ご 挨 拶

東京高等教育研究所を代表して

所長 蔵原清人

 この度の北海道高等教育研究所の設立を心から喜び、あいさつを送ります。北海道での高等教育研究所の設立は、北海道における高等教育、特に私立大学の発展にとって大きな力となることと思います。  現在、私立大学の教職員運動、組合運動と連帯して研究を進めることを表明している機関は私ども東京高等教育研究所と京都における高等教育研究会しかありませんでした。北海道において高等教育研究所が設置されることは、北海道の私立大学の運動だけでなく、全国の運動を励ますものです。

ご承知の通り、私立大学は学校法人によって設置されていますので、私立大学を理解するためには財政を含む学校法人制度の実態を把握することが不可欠です。特に昨今の教育改革の中で理事会側は不当に学校法人=理事会の権限を拡大解釈して、一方的な方針を押しつけるだけでなく、しばしば教授会の権限の削減をはじめ大学の自治と学問の自由を侵す施策をとっています。また教職員の管理を強める一方、嘱託や派遣の職員を増やしたり大学にとって重要な業務を外注するなど、大学としての力を弱めることになる施策をとっています。財政状況が厳しいといいながら、外部のコンサルタント会社に高額の費用をかけて将来計画の立案を発注するなど、自らの経営能力をそぎ落とすことを推進しています。

今日、学校法人理事会の多くが日本の大学を発展させる展望を持っていないといわざるを得ません。むしろ政府の政策に無批判に追随し、受験産業の「アドバイス」に一喜一憂して、かえって大学の経営力、教育力、研究力を低下させています。北海道では政府の高等教育改革の影響の他に、地域の経済の困難と人口減少によって特に私立大学は厳しい状況におかれており、どの様に地域に貢献するかが厳しく問われているといえましょう。 私立大学は日本の高等教育の普及に大きな貢献をしてきました。特に、国公立大学が設置されない地域では、入学者の減少に耐えて教育と研究を進め、その地域の発展を支える力となっています。また大学の自治に立って、幅広い教育と研究を進め日本の教育学術を豊かにしてきました。しかし政府の政策はそうした私学の努力を評価しないばかりか、専ら日本の経済発展のためだけに大学を奉仕させようというものです。

私立大学が本来大学が果たすべき役割をさらに進め、一層ゆたかな教育や研究を展開することで地域社会の課題にも応え、また人類の直面する課題の解決の道を解明していくためには、教職員と学生、地域社会の力を大きく結集することが必要です。新しい研究所がこうした人々とともに、政府の高等教育政策の批判を進め国民のための大学をつくり出す運動の力となり、北海道の地域を支える高等教育のあり方について研究され今後の展望を示していくことを期待しています。

これらの課題はとても大きなものですが、お互いに協力を進めながら研究をすることで、日本の私立大学のあり方を探求していきましょう。北海道高等教育研究所の設立を心から歓迎するとともに、ともにがんばることをお約束します。

2015年5月22日

総会・レセプション・学習会の参加集約状況など。