鹿児島国際大学三教授に対する懲戒退職処分の撤回と
名誉毀損の謝罪を行ない、原状回復を求める要請書

 2002年3月29日、学校法人津曲学園理事長・津曲貞春、鹿児島国際大学学長菱山泉の連名で、経済学部教授・田尻利氏、同・馬頭忠治氏、同・八尾信光氏に対して「懲戒退職」処分が決定され通知された。この三教授に対する懲戒退職処分は、日本の大学の長い歴史においても前代未聞の驚くべき内容であり、暴挙と言えるものである。理事長・学長は、懲戒退職処分の理由においては、1999年6月に始まった公募採用人事に関する審査内容にまでふみこみ、さらに教授会での採用決定に至る議事運営のあり様にも言及している。また、正式な手続きを経た教授会決定をふみにじり、教授会の採用決定者に対して採用不可の文書を送付している。これらは、全く常軌を逸した行為であり、法人経営側が教授会自治を無視し、一方的に教学内容に介入するという教学権への重大な侵害を意味する。
 また、処分の全教職員向け告知文書は、「業績評価書」についての「虚偽記載」をはじめとして教育・研究に従事する大学教員の名誉を著しく傷つける文面内容が綴られている。これは、明らかに名誉毀損である。懲戒退職処分の基準について、当局側は、4月2日の記者会見で「就業規則に抵触するということではないが」と自ら言明し、この処分が就業規則によらず、他のいかなる法的根拠によって行われたかを明示できずにいる。しかも、同じ記者会見の席で、処分を受けた教授の不正の意図(虚偽記載の意図)については「分からない」と述べている。この処分の方法も、教授会の議を経ず法人側の一方的なものであり、理事長・学長はじめ一部経営陣の超法規的で恣意的な処分であった。このようなことが許されるなら大学教職員は日常的な不安と恐怖のなかで仕事を行わなければならなくなる。
今回の懲戒退職処分は、大学内における自由な言論を封殺し、反対意見を述べた者を排除する(解雇する)など驚くべき時代錯誤の専断的支配であり、前代未聞の暴挙である。このことは21世紀の新たな大学づくりに努力している全国の大学および教職員・学生にとって脅威ですらある。我々は、理事長、学長はじめとした全理事に、鹿児島国際大学三教授への懲戒退職処分をすみやかに撤回し、謝罪することをここに強く求めるものである。
以下、要請を行う。

  2002年4月7日

学校法人津曲学園理事長津曲貞春、鹿児島国際大学学長菱山泉、および津曲学園全理事 殿

要請事項
1 田尻利教授、馬頭忠治教授、八尾信光教授に対する懲戒退職処分をすみやかに撤回し、原状回復を行うこと。
2 上記三教授の名誉を著しく傷つけたことに対して謝罪すること。

 (取り扱い団体 鹿児島国際大学三教授を支援する全国連絡会)


上記の要請書に署名した人数(2003年9月21日現在)
署名人総数 4028名
大学関係者 1260名
内訳;国公立大学(国公立研究機関を含む)449名、私立大学 811名
上記以外  2768名

なお、署名用紙の現物は取り扱い団体事務局で保管されている。