2003/7/12 Topics

守る会ニュ―ス・第5号
鹿児島国際大学教職員の身分を守る会発行/2003年7月7日


3教授の本訴をめぐる状況について

代表幹事 網屋 喜行

 3教授の本訴つまり懲戒解雇無効確認の訴は、来る8月11日に第5回口頭弁論が開かれて、教授側が、学園側の主張に反論する予定になっている。その後、訴訟は、9月からいよいよ証拠調べの段階に入る。本訴は、今、こうした段階にあるが、学園側は、次々と、攻撃の矢を放ってきている。まず、地位保全の仮処分決定に対する異議の申し立てがあり、更に、八尾教授と南日本新聞社に、名誉毀損を理由とする損害賠償請求の訴えを提起してきている。状況はやや複雑化している。
 
 さて、本訴は、一体、どういう全国状況の下で進行しているのだろうか。
まず、最近、国会で労働基準法改正法が成立したが、それには、使用者の解雇権を包括的に規制する条文「解雇には、客観的に合理的な理由が必要で、そうした理由のない解雇は、権利濫用として無効となる」が、第18条の2として、盛り込まれた。これは、判例の到達点の条文による確認であるが、不当解雇に反対する労働者の裁判闘争こそが、実に、判例形成の原動力であった。また、その条文は、わが国の貧弱な解雇制限制度を、一歩だけ、ヨーロッパ水準に近づける意味を持っている。従って、その規定が、不当解雇に反撃する労働者の有力な武器となることは間違いない。
 次は、国会審議中の法案に関連している。国立大学が独立行政法人に変えられようとしているが、法人化後の国立大学には、現在、教授会の人事自治権を具体的に保障してきた「教育公務員特例法」の適用が否定されるため、人事権を掌握した学長と教授会との間で、人事をめぐる大小の紛争が発生する危険性が高い。なお、公立大学にも、同様の事態を予測せざるを得ない。容易ならぬ状況といえよう。
 ともあれ、我々は、こうした状況の下で、3教授の学園復帰を目指している。私は、労働法学者として、訴訟の推移に注目しつつ、3教授の支援活動を進めていきたい。


*******************************************************************************
「いま,わたくしたちは「陳述書」の仕上げに全力を投入しています。証拠が必要になります。わたくしのばあい,人事委員会の関係資料は,教授会終了後に,担当部局に焼却を依頼することが常でした。今回だけは,紛糾に備えて保存すべきでした。うかつでした。利用する資料は,多くが当局側が裁判所に提出した証拠資料です。これらの証拠によって,事実,真実を語らなければなりません。わたくしの歴史家としての力量が試されています。」                (田尻 利)
*******************************************************************************

 

守る会第2回総会の報告

 去る6月14日、鹿児島大学教育学部にて守る会第3回総会が開催されました。悪天候にもかかわらず約60名の参加。網屋代表の挨拶にはじまり、小堀弁護士からの裁判経過の 報告、鹿児島県連合、県労連、九州私大教連、久留米大教職組からの連帯の挨拶など、盛りだくさんの内容で約2時間があっという間に過ぎました。
 総会では、決算報告、活動報告、予算及び活動方針がはかられ拍手で承認されました。決算報告及び予算については、総会の際に配布したものを同封しております。また、今年度の活動については、傍聴の呼び掛けなど裁判への支援活動を引き続き行う、ニュースをなるべく多く発行し会員への情報提供に努める、全国連絡会との連携を強化する、会員の拡大に努力する、という四つの柱を中心に進めることが提案され承認されました。しか し、裁判を含め、今後のこの事件をめぐる状況がどうなるのか、不透明な部分もありますので、裁判の進捗状況に応じて適宜具体的な活動を行っていくことになるかと思います。
 事件発生から1年以上が過ぎましたが、裁判はまさにこれからが山場です。会員の皆さんからのご支援を引き続きお願いいたします。また、当初目標に掲げた会員数300名にはあとわずか足りない状況です。できれば、周囲の方に声をかけていただき、会員の拡大にご協力していただければ幸いです。

お知らせ


8月11日(月)13時10分より鹿児島地方裁判所にて口頭弁論が行われます。その後、弁護士会館にて第13回幹事会を開催致します。役員以外の方の参加も歓迎いたします。

 

国際大教職員組合、
引き続き懲戒解雇問題で団体交渉を要求中


 すでにお知らせしましたように、鹿児島国際大学教職員組合は、去る3月24日、津曲学園理事会と3先生の懲戒解雇問題についての話し合いをもちましたが、その中身は、とても十分とはいえないものでした。そこで組合は、再度の交渉を申し入れてきましたが、理事会は「検討する」としつつも、年度始めは多忙であるという理由で、進展がありませんでした。その後6月に入って理事会より、団体交渉を開催できるとの通知があり、現在は交渉をどのように行うかについて、ツメのやりとりを行っています。
 組合は、3先生が交渉としっかり関ることが、実質のある交渉を行うためにも、3先生の当事者としての権利をまもるためにも、大切なことだと考えています。そのため組合は、団体交渉を鹿児島国際大学で行うこと、交渉と同時に学内で組合員集会を開催し、3先生がそこに参加できるようにすることを要求してきました。これにたいして理事会は、交渉場所として学園本部を通知してきました。また理事会は、前回の話し合いで3先生の学園施設への立ち入りを認めなかった経緯があります。一筋縄ではいきそうにありませんが、粘り強く話し合いの道をさぐっているところです。


    -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
周囲の方に声をかけていただき、会員の拡大にご協力下さい!また、すでに会員になっていただいているみなさまはお手数ですが、同封の払い込票にてお手続き下さい。