南日本新聞(2004年1月15日)朝刊の記事

 

 

鹿国大教授解雇報道訴訟
「記事、事実に反せず」 鹿地裁 学園側の訴えを棄却

 鹿児島国際大学(鹿児島市)の三教授懲戒解雇をめぐる南日本新聞の記事と見出しで名誉を傷つけられたとして,同大学を運営する津曲学園が南日本新聞社と,同学園と係争中の八尾信光教授(55)に計550万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が14日,鹿児島地裁であった。池谷泉裁判官は南日本新聞の一連の表現については,「事実に反する報道とは認められない」として,学園側の訴えを棄却した。
 判決によると,南日本新聞は同教授らの地位保全の仮処分決定を2002年10月1日付朝刊で「復職の仮処分決定」との見出しで報じた。さらに,03年2月17日付朝刊に寄稿した八尾氏の肩書を「鹿児島国際大学経済学部教授」と記載した。
 学園側は「『復職』は誤報。肩書は正規に教授職に就いているかのような印象を与え,学園の名誉を棄損した」と主張していた。判決は地位保全については,「一般読者向けに分かりやすく説明すれば,仮の処分として『復職』が命ぜられたということになる」と判断。肩書については「無効とされた懲戒解雇前の肩書を用いることを違法とする理由はない」とした。
 八尾氏ら三教授は教員選考で不正があったなどとして,02年3月31日付で懲戒解雇された。解雇無効などを求めた訴訟は係争中。学園側は仮処分決定への異議を申し立てている。


学校法人津曲学園の話
判決文をよく読んで対応を検討したい。

八尾信光氏の話
学園側が損害賠償の訴訟を起こしたこと自体が驚きだった。主張が全面的に認められてありがたい。請求棄却を確信していたが,その通りになりホッとしている。

有川賢司南日本新聞社編集局長の話
本社が一貫して主張してきた取材および記事の正当性を全面的に認めた内容になっており,評価できる判決である。今後も引き続き,慎重で正確な報道を心がけたい。

(南日本新聞,2004年1月15日朝刊)