八尾教授側の「準備書面」(2003年9月22日付)

 

 

平成15年(ワ)第357号
  原   告   学校法人津曲学園
  被   告   八 尾 信 光  外1名

準  備  書  面

                        平成15年9月22日

鹿児島地方裁判所 御中


  上記被告八尾信光代理人
   弁護士 増  田   博

1 原告の主張について

(1) 原告は、本件仮処分決定には「教授等の職務上の肩書きを用いることを妨 害してはならない」とされていないから、被告八尾が教授の肩書きを使用し たのは違法であるというものである。
  しかしながら、仮処分決定はこのような形式的なものではなく、被告八尾 が原告学園に対して「雇用契約上の権限を有する地位にある」ことを定めて おり、懲戒解雇処分はなかったと同様の法的効果を与えているものである。 したがって、被告八尾には処分前の身分が包括的に認められているものであ るから、八尾が原告大学の教授としての身分を使用しても何ら問題はない。

(2) そもそも、原告の被告八尾に対する懲戒解雇が適法であるという根拠はな く、原告が自己の処分を適法であるなどと一方的に決めつけられるものでも ない。したがって、本来被告八尾が原告の処分を違法として従来の地位を主 張することが直ちに違法になるというものでもない。ましてや、裁判所によ り仮の地位を認められている者が、これに従って行動することが違法になる  という根拠は全くない。裁判所の決定をも無視して、自己の行為を絶対化し、 これに反する主張や行動を悉く違法と断定する原告の本件請求がいかに常軌 を逸しているか、このことからも明らかである。

2 本件は損害賠償請求であるから、不法行為の要件が必要である。被告八尾が 自己の肩書きを使用することは社会的にも法的にも許されたものであり、何ら 違法性はない。また、同人が肩書きを使用したことに何らの過失もない。被告八尾が地域経済の活性化の為の意見を自由に新聞に投稿することは、むしろ望 ましいことである。
 また、裁判所の決定に従って、被告八尾が正当な肩書きを使用したことによ り、原告に何らの損害を与えてもいない。

3 本件は、不法行為の要件を悉く充たしていないもので、訴権の濫用であることは誰の目にも明らかである。