南日本新聞社側の「準備書面(1)」(2003年7月15日付) の要旨

南日本新聞社の主張

 

1 被告南日本新聞の仮処分報道が誤報であるか否かについて

仮処分では、主文で、「債権者らが、いずれも、債務者に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める」との決定を下している。
雇用契約上の権利が、仮にであっても裁判所の裁判により認められるということは、一旦、債務者(原告)の懲戒解雇により事実上失った雇用契約上の地位が、この裁判により再び認められるということである。仮処分債権者にとって、大学教授という地位は、イコール職業であるのであるから、職業への復帰、「復職」と表現することは決して誤りではない。

2 名誉毀損行(その2)について

仮処分決定により、八尾教授らは、「雇用契約上の権利を有する地位」が認められている。このような地位が保全されている以上、雇用契約がその者の職業を離れて考えられないのであるから、同人が、「鹿児島国際大学教授」の肩書きを用いることはむしろ当然のことであり、これを「誤った肩書き記載」とは言えない。 したがって, 原告の名誉毀損行為を構成することはない。

3 求釈明
名誉毀損行為(その1)については,日本新聞は誤報ではないと考えているが、原告は、被告南日本新聞の当該報道のどの点により、どのような名誉がどのように毀損され、どのような損害を被ったのかを明らかにされたい。

 

鹿児島国際大学当局が,南日本新聞社に対して名誉毀損だと訴えた2つの事項(学園側「訴状」の要旨)

名誉毀損行為(その1)

 「南日本新聞」の2002年(平成14年)10月1日付朝刊において、原告の被告八尾ら3人の元教授の解雇問題に関し、仮の地位を認めた裁判所の仮処分決定を報じる記事(甲1)において、「復職」が命じられたかのごとき事実と異なる記事をことさらに掲載し(以下「本件誤報」あるいは「本件誤報記事」という)、原告の社会的評価をことさらに貶め、名誉を毀損した。

名誉毀損行為(その2)

 被告八尾は、解雇無効を争う本案訴訟の第2回口頭弁論期目(2月24日)直前、被告南日本新聞社が発行する2003年(平成15年)2月17日付南日本新聞の朝刊において、「私の論議 かごしま新世紀」いう欄に投稿し、「『ボラン・システム』活用を 商店街の再生」と題した投稿を発表したが(甲11)、その際、被告八尾の肩書きとして「(鹿児島国際大学経済学部教授)」と冒頭に大きく記載させ、「90年教授、経済学部長」等との経歴記載をしたのみで「解雇され現在係争中」等の何らの注記もなく、現在もなお原告大学の教授職に正規に就いているかのような印象を与える誤った肩書き記載がなされた。
  南日本新聞社の新聞発行部数は多数に及び、上記一連の誤った報道及び肩書き記載の記事によって、原告の名誉は甚だしく毀損されている。