最近における大学教員の権利侵害事件
2003年
大阪芸術大学不当労働行為(配転)事件

1.事実関係

2003年2月,大阪芸術大学の理事長は,事前の打診も理由説明もなく,組合三役と執行委員2名に所属変更を命じた(教育現場の最高責任者である学科長にも移動の事前打診はなく,配転理由もわからないままであった)。

さかのぼって,2002年3月,大阪芸大の理事会は組合を無視して就業規則の改定を行い,それまであった「大学」とあったところを「学院」に変えた。これ以外に,休職および解雇規定の整備として「学生数の減少に伴う事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事由によるときに解雇できる」,「懲戒解雇規定では「情報媒体又は文書等により,学院に不利とする不実の事項を流布宣伝したとき」と新条文を加え,異動では「学院は業務上必要があるときは,教員職員に対し,所属の異動及び職種の変更を命ずる」とした改正がなされた。
今回の配置転換はこの就業規則を利用して行われた。

2.労働組合の対応

著しい労働不利益がおこり不当労働行為が生じることを懸念し,3回にわたり団体交渉開催を要求。

現在,組合活動への不当介入,度重なる団体交渉拒否,組合員への差別・攻撃という不当労働行為について,不当労働行為救済申立を地労委に行い,配置転換は不当なものであるとしてその撤回を求めて地裁へ訴える準備をすすめ,大阪私学教職員組合に闘争救援規定を申請している。

4月17日,大阪私大教連,大阪芸大教職員組合は,連名で芸大組合役員への不当配転に対する抗議文を提出し,5月10日までに団体交渉に応じるよう申しれを行う。 これに対して,5月1日,当局は団体交渉拒否を内容とする回答。

5月28日,大阪私大教連が再度の団体交渉を要求。当局はこれを拒否。
5月29日,組合の春闘要求書を提出。理事会は受け取り拒否。

6月27日,理事会は『教職員の皆様へ』と題する「通知」を全教職員に配布。
「実質上の構成員が十数名と推察される少人数でありながら,いかにも全教職員の代弁者のように振る舞うこのような教職員組合の不遜,横柄,且つ横暴な体質」,「組合は,こざかしくも,今日の学院の反映はこれまでの自分たちの働きのおかげてどとアピールをしておりますが,学院創設者,塚本英世の時代から綿々と学院発展の障害となってきたのは教職員組合であります」などと公然と組合攻撃し,不当労働行為を完全に無視する。

[資料]ニュース「私大教連おおさか」(第1号2003年4月,2号5月20日,第3号6月20日,4号7月20日)より要約・抜粋