名古屋地裁の「決定」は、当該処分は懲戒権の濫用であり無効であるとした。その理由は、
@ 4教授は大学の自治の担い手である。
A その行為は大学の自治の慣行を確立・改革しようとしたものである。
B 「大学の自治を確立し大学が更なる発展を期するには、ときに大学が新たな変革と創造を目指すことは不 可欠の要請であり、その過程で各々の立場や見解の相違から軋轢摩擦が生じた場合、当局者は使用者として
の立場から教員を見るだけでなく教員や教授会の役割を認識し…行き過ぎがあったとしても、これを軽々に経 営権・人事権の侵害又は秩序の紊乱と結論づけることは慎重でなければならない」とするものであった。これは
常識的だが正当な判断を示すものである。
同「決定」は、理事会と教授会の関係を正面から論じた。その意義は次の点にある。
@ 教授会は学長の諮問機関ではなく、また、理事会のみが大学自治の主体でもない。教授会は「独立した大 学の管理機関」であるとした。
A 理事会と教授会はともどもに大学の自治を担い協働することが望ましい。
B 教授会は審議するのみで審議には「議決」は含まれないのではなく、「統一的意思決定」をなすものと認め た。
C 教員には大学運営において旧弊を改善し、「変革と創造」の為に果たすべき役割があることを積極的に認 めた。この点は従来の判例には見られなかった特筆すべき点である。
以上の決定内容には、学生と国民の幸福のために大学の発展を日々念願して奮闘してきた良識ある教職 員・組合員の信条と実践が刻まれている。(資料@173〜174ページより抜粋)
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