本訴やむなしに至った経緯

●2002年9月30日 鹿児島地方裁判所 仮処分判決

三教授の申し立てを全面的に認める!(三教授全面勝訴)

三教授、三教授記者会見(県弁護士会館 5:45)
○八尾教授「この半年間、将来への不安を抱えつらい思いをしてきた。支援してくれた団体に感謝したい。学園側は解雇を 撤回して、元の仕事ができるようにしてほしい」
○三教授を支援する全国連絡会/見解発表(南日本新聞)
「三人が早急に教育・研究に復帰できるよう大学側に処分撤回を求めていく」教授は「選考は規程に従って行った」と反発し て、鹿児島労働局に指導を求めた。

津曲学園理事会
南日本新聞報道/学園側「本訴で正当性主張」(津曲学園のコメント)
「今回の学園の(三教授に対する)処分は、教員採用人事に関する不正に対する問題提起であり、大学の自治と学問の自 由を守るために行なったもの。大学にとって死活問題ととらえており、本訴で最後まできちんと学園の正当性を主張していき たい」

●10月1日 全国連絡会事務局 仮処分決定に対する事務局見解を発表。

鹿児島国際大学教職員の身分を守る会 鹿児島県庁で記者会見
(南日本新聞報道より)
 教職員組合の長沼庄司委員長は、給与支払いや研究室利用の妨害禁止も認めた今回の決定について「全面勝利といっ ていい」と評価。本訴に入って裁判が長期化した場合に備えて支援態勢は組んであるとしたうえで、「(学園側との)話し合い による自主的な解決をめざしたい」と強調した。
 同組合は、2日に学内で三教授を交えた組合員集会を開く。その後、学園側に懲戒問題に関する団体交渉を申し入れる。
 一方、「守る会」の平井一臣事務局長は「学園側は処分を撤回して、三教授を元の勤務状態に戻すべき。全面的解決まで 支援活動を続ける」と話した。同会は3日に鹿児島市の鹿児島大学教育学部で報告集会を開く。


●10月2日 鹿国大組合 仮処分決定報告組合員集会(12:20-12:40 7号館経済学部教授会議室)
「…研究室を除き、他の学内施設(会議室、教室等の含む)に貴殿が立ち入ることを禁止する」 という学長通達(10月2日午 前中)が出され、三教授は「やむを得ず」(組合判断)廊下での集会参加となった。(報告集会決議)

鹿国大組合 理事会に対する団交を要求。
(団交要求書)
 2002年10月2日、鹿児島国際大学教職員組合は、仮処分決定報告集会を開催しました。この集会は、組合員である三名 が貴職から「懲戒退職」処分を受けたため、三名が申し立てた地位保全等仮処分申請に対して、9月30日鹿児島地裁から 仮処分命令が下されたのを受けて、開催したものです。私たち鹿児島国際大学教職員組合は、この集会決議にもとづき、団 体交渉を申し入れます。
 健全なる労使関係を維持し、教職員の労働環境をよくし、また本学園を維持発展させるため、ぜひともお受けいただけるよ うお願い申し上げます。なお、残念ながら貴職が団体交渉を拒否した場合には、労働組合法に規定された不当労働行為で あるとみなし、地労委に提訴することを考えていることを申し添えておきます。団体交渉の日時については、2002年10月10 日までにご回答いただけるよう重ねてお願い申し上げます。

1.貴職がおこなった、鹿児島国際大学教職員組合組合員三名への「懲戒退職」処分に関する件
2.上記の件について、2002年10月19日までの適切な日時で、団体交渉をおこなうこと。

●10月2日 鹿国大菱山学長 三教授に「研究室以外の施設使用禁止」の「学長通達」を送りつける。
仮処分決定で裁判所が「三教授による研究室の使用を認める」と判断したことを曲解し、菱山泉学長は「研究室以外の利用 を認めない」との通達を三教授に送付する。
(学長通達)
通達
鹿児島国際大学
学長 菱山 泉

 2002年9月30日付鹿児島地方裁判所による仮処分決定により貴殿に対して利用が認められた研究室を除き、他の学内施 設(会議室、教室等を含む)に貴殿が立ち入ることを禁止します。


●10月3日 「守る会」集会 (18:00〜20:00 鹿大教育学部 103教室)
参加者約150人。津曲学園に三教授に対する処分撤回を求めるアピールを採択した。(守る会ニュース)


●10月6日 鹿国大組合: 組合員集会の開催(集会決議
(集会決議文)
一、三氏に対する懲戒解雇処分をただちに撤回することを、理事会に求めます。
一、三氏に対して謝罪し、名誉を回復することを、理事会に求めます。
一、仮処分命令に従って、三氏が十分な教育及び研究をおこなえるよう、従前の教育研究条件を確保し、三氏の教育や研 究を妨害しないよう、理事会に求めます。
一、今回の事態を解決し、また三氏が完全職場復帰できるよう、組合は理事会に対して団体交渉を申し入れます。
一、理事会が団体交渉を拒否した場合には、不当労働行為とみなし、地労委に提訴します。
一、三氏が名誉を回復し、完全職場復帰を果たすまで、組合は三氏を支援します。

●10月6日 全国連絡会: 立教大学にて第3回会合その内容

10月7日 全国連絡会: 文部科学省、日本弁護士連合会、日本学術会議へのの要請行動各要請書
●文部科学省(文部科学大臣に「鹿児島国際大学三教授「懲戒退職処分」に関する文部科学省への要請書」を提出)/● 日本弁護士連合会(「大学の自治、学問の自由、言論・思想の自由に関する申し立て」を行う)/●日本学術会議(鹿児島 国際大学三教授の「懲戒退職処分」に関する報告および検討要請)

●10月9日 鹿国大組合: 学内交渉の申入れ

●10月10日 団体交渉回答期限 学園理事会からの回答なし

10月11日 学園理事会の開催

10月16日 学園理事会: 鹿国大組合の団交要求書に対する回答(事実上の拒否回答)
(回答書の内容)
 2002年10月2日付、「団体交渉の申し入れについて」と題する書面に対し、下記のとおり回答します。

1.貴鹿児島国際大学教職員組合につき、法務局にて貴組合の登記を確 認できませんでしたので、組合規約,組合員名 簿,役員名簿の提出を 求めます。
2.団体交渉の申し入れについては、上記1記載の書類を受領後、改めて検討の上、回答します。

10月18日 鹿国大組合: 学園理事会に再度,団体交渉を要求
(団体交渉の申し入れ書)
 2002年10月16日付の貴理事会の回答は、団体交渉に今回新たな不当な条件をつけ、事実上交渉を拒否したに等しく、組 合として容認できるものではありません。組合規約と役員名簿は公表されており、承知済みのはずです。組合員の詮索は、 組合に対する支配介入に当たり不当労働行為です。
 学園内外の早期に自主解決を望む声は高まっています。原告・弁護団は来週中にも鹿児島地裁に訴状を提出する予定で すが、交渉で円満解決を見るならば、本訴を取り下げることを原告・弁護団に提起します。再度、無条件でただちに交渉に応 じるよう、下記の通り申し入れます。

1.従来の慣行にしたがって、無条件で、鹿児島国際大学教職員組合組合員三名への「懲戒退職」処分に関する件につい て、団体交渉に応じること
2.上記1の件について、2002年10月25日までに回答すること

10月19日 第1回目団体交渉要求の開催期限: 開催なし

10月25日 第2回目団体交渉開催要求についての回答期限: 学園理事会の回答
(回答書)
2002年10月18日付、「団体交渉の申し入れについて」と題する書面に対し、下記のとおり回答します。

組合員規約や役員名簿は、既に公表されているとのことですが、当方では確認できておりません。公表されているものなら 提出には何の問題もないことですから、直ちに提出してください。
 また、「一般的に、使用者が個々の労働者が組合員であるかどうかを知ろうとしただけで、直ちに支配介入にあたるもので はない。」と考えております。(平成7年同主旨の最高裁判決があると聞いています。)
 組合員名簿の提出を求めることは一般的です。組合員名簿の提出要請が支配介入の不当労働行為にあたるとの貴組合 の見解には同意することができません。
 団体交渉に応じるかどうかを検討する最低限度の資料として必要ですので、組合員名簿の提出を再度求めます。

●上記同日 学園理事会: 3教授に対して予備的解雇を内容とする新「処分通知書」を送りつける。
(金井塚修,金井塚康弘を代理人とする10月25日付け「処分通知書」)
 本学は、貴殿に対し、仮処分決定がなされた現在、裁判所の決定も踏まえつつ貴殿の行状に鑑み、念のため予備的に本 書をもって、貴殿を就業規則第19条2号、4号、9号に基づき、本書到達日の翌日より起算して30日を経過した日をもって、 解雇するので通知する。
 本件予備的解雇の理由は、前記の懲戒退職事由とした貴殿の不正行為のほか、右解職日以降今日まで貴殿が本学園 に対して行った背信的諸行為(本年4月2日の記者会見や4月5日付、4月6日付、4月21日付メッセージ等をインターネット を通じる等して事実を歪曲して喧伝したこと等)により本件懲戒処分の有効性を貶め本学の名誉を毀損したこと、また、公募 教員選考過程での不正という大学運営の根幹を揺るがした自らの不正行為の重大性への反省が全く見られないこと、学問 の正統性、科目適合性等を無視して多数決で決せられると考えている学問・研究に対する根本的誤解など教師、研究者、 大学教授としての不適格性、業績不充分、大声での暴言、威嚇、さらには、ことさらに学長、理事等の個人攻撃をしつつ、学 外の多衆にたのみ学園秩序の破壊を策そうとする、協力性、協調性の欠如等を付加したものである。

10月26日 九州私大教連: 第14定期大会にて「津曲学園理事会に鹿児島国際大学懲戒解雇事件の 解決を求める決議」を採択 決議文
一、理事会は今回の仮処分命令の結果を厳粛に受け止め、仮処分命令に全面的に従うこと。
一、理事会は三教授の懲戒解雇処分を直ちに撤回し、完全職場復帰させ、原状復帰を行うこと。
一、理事会は三教授に謝罪し、その名誉を回復すること。
一、理事会は三教授への未払い給与を全額支給すること。

11月4日 全国連絡会: 第1回運営委員会を開催議題内容

11月8日 三教授: 学園理事会に対して「処分通知書」の撤回を要求
貴職の代理人,金井塚修弁護士および金井塚康弘弁護士による『処分通知書』(平成14年10月25日付)と題する書面 が,わたくしたちそれぞれに送付されてきました。しかし,書面に通知された「予備的解雇」は,とうてい承服できるものでは ありません。
 わたくしたちは,貴職が一刻も早くこの『処分通知書』を撤回されることを強く要望いたします。

11月11日 三教授: 鹿国大学長に対し仮処分命令遵守の要求書を送付
(要求書の内容)
御承知の通り、鹿児島地裁は9月30日、私たち三教授の仮処分申請に対して決定を下しました。「決定」は学園当局側の懲 戒解雇事由を詳しく検討した上でそれらを退け、私たちには「懲戒解雇事由に該当する事実は認められないから……本件懲 戒解雇は無効である」と判定し、「債権者ら(私たち三教授)が、いずれも、債務者(津曲学園)に対し、雇用契約上の権利を 有する地位にあることを仮に定める」と決定しています。
 これは、学園が3月末に私たちに通知した懲戒解雇処分が「無効」であり、(本訴によってこの決定が覆されないかぎり)小 生らが鹿児島国際大学教授の地位にあることを認めたものです。
 大学当局は法令と裁判所の決定を尊重すべき立場にあると考えますので、是非この決定を遵守して私たちを他の教員と 同様に処遇されるように求めます。
 本学の教授が、図書館をはじめとする学内施設や機器備品を利用して自由に研究活動を行なうことは当然の権利であり、 講義やゼミナールを分担することも当然の責務であり権利であると考えます。
私たちはまた、学則の定めにより教授会や研究科会議の構成員でもありますから、それに参加する義務と権利を有していま す。
 したがって、大学当局は教授会通知をはじめとする全ての関係文書を他の教員と同様に私たちにも配布されるべきです。
 大学は法令・学則・諸規程を尊重しながら運営されなければならないはずですので、以上の諸点よろしくお願い申し上げま す。

11月12日 三教授: 本訴訴状検討会(第1回)

11月14日 三教授: 本訴訴状検討会(第2回)

11月15日 鹿国大組合: 三教授の学内での権利回復を申入れ
10月2日付の学長通達は、三教授の研究室以外の立ち入りを禁止する極めて不当なものです。仮処分決定を曲解する措置 については、11月9日付で組合の見解を対置して直ちに撤回するよう学内交渉を申し入れていましたが、今に至るも回答が ありません。この間、新たに加えられた不当な措置もあります。
 組合は、三教授から出された要望をまとめ、来週中に学内交渉を応じるよう本日(15日)申し入れました。仮処分決定と学 長通達についての組合の見解を示すとともに、直ちに回復すべき要求として次の7項目を挙げています。
 1.学内LANの使用を認めること。
 2.学内の複写機使用を認めること。
 3.図書館での貸出とコピーを認めること。
 4.研究紀要の執筆を認めること。
 5.教授会・学科会議等の会議の出席を認めること。
 6.来年度の授業担当を認めること。
 7.研究室にネームプレートをつけ、メールボックスの利用を認めること。

11月15日 鹿国大学長: 「裁判所の決定を尊重し遵守した処遇」を求める三教授の要求に回答
(まったく誠意が見られない学長からの回答書)
 貴殿からの2002年11月11日付「裁判所の決定を尊重し遵守した処遇を求めます」と題する書簡に対し、次のとおり、ご回 答致します。
 お申し越しの諸点は、いずれも「雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める」とされた仮処分裁判所の決定を 正解しないものに過ぎず、遺憾ながら、貴意にそうことはできません。
 再々「代理人弁護士を通じて下さい」との当方の申し出を無視され、本人名の書面を種々送ってこられていますが、「仮に 定める」との決定は、仮のものに過ぎず、法律的には、本案の訴訟で無効の判断が確定するまでは、3月末の懲戒退職処 分が有効であることに変わりがありません。
 また先の決定は、「雇用契約上の地位」の仮の設定であり、「教授の地位」の設定でないことについても「よく決定文をお読 み下さい」としか申し上げようがありません。したがって、書簡のお名前に「鹿児島国際大学経済学部教授」との肩書を使用 されていますが、当学園は勿論認めておりません。肩書詐称であり、裁判所もこのようなことは認めていないことをよくご理 解下さい。
 当方は、従来より、法令・学則・諸規程は勿論のこと、裁判所の決定も厳格に遵守しておりますことを再度申し上げて、ご 回答に代えさせていただきます。
 貴殿も本案の提訴をされる予定と聞いております。であるならば、言い分は裁判所でお願い致したく、今後もこのような書 簡を再々お送りになるならば、場合によっては業務妨害となり、しかるべく対応させていただくことがあることを、念のため、ご 警告方々申し添えます。


11月19日 三教授: 鹿児島地裁に訴状を提出