母校なくなる悲しみを知って

 3月末,卒業したばかりの母校を訪れた。雨が降っていた。滋賀県の守山市立守山女子高校。玄関の校名が取り外されていた。ショックだった。守女が泣いていると思った。
 移管話が出たのは1年前。財政難に苦しむ市が,高校を新設にしたい立命館に移管し,4月から守女はなくなった。最初に守女を見たときは,小さな高校だなという印象だった。けれど,入学してからわかった。生徒はあいさつができて,元気が良く,生き生きとしていた。
 先生方はとても親切で,生徒一人ひとりをきちんと指導してくれた。人生について教えてくれる先生,雑談のおもしろい先生,教え方のとても上手な先生。様々な先生がいて,とても楽しい高校だった。守女の生徒であったことを本当によかったと思っている。
 多くの反対があった。しかし,思いは届かなかった。小さい頃,「人の痛みが分かる人間になりなさい」と言われた。今度の問題で,人の心に触れられたことがあっただろうか。多くの人が悲しんでいることを知って欲しい。私も守女を生涯忘れない。