コンパス:「(立命館守山高への)移管の衝撃で…

毎日新聞(2006年3月3日)

 「(立命館守山高への)移管の衝撃で、皮肉なことに生徒が一つにまとまってくれた」。1日にあった守山市立守山女子高の最後の卒業式で、教職員や保護者がそう話していた。式の前に卒業生全員が式場に担任を呼び、感謝のメッセージを贈ったそうだ。答辞や送辞も自分たちの無念の気持ちを丁寧に表していたとし、移管をバネに、成長した姿を披露してくれた本当に素晴らしい卒業式だったと思う。

 一方で気になったのが市長の祝辞。「経験をマイナスにせず、プラスとしてほしい」と、まるで他人事のようだ。彼女たちから母校を奪う決断をしたのは市長自身で、いわば加害者。被害者が加害者から「つらいけど頑張って」と言われてどう思うのか。他に意図があったのかも知れないが、弱い者の立場を考えない失言ではなかったか。