市立守山女子高の移管問題:守る会が住民監査請求「市の損害放っておけない」 /滋賀

2005/11/22, 毎日新聞 地方版

 「守山女子高など、市の財産が一方的に損害を受けるのをこのまま放っておく訳にはいかない」。21日、守山市に対し、平安女学院大キャンパス跡の立命館側への無償譲渡差し止めなどを求める住民監査請求を起こした同市の住民団体、「市の財産(守女)を守る会」の西村登志男代表は請求に至る経緯を話した。
 この日会見した西村代表らは「私たちの調査で、守山市だけが損をする枠組みが作られ、本当に将来の守山市のためになっているのか疑問」と市の姿勢を批判。また、市議会に対しても同日、市側の協議経過などを調査するように要望したことを明らかにした。
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 ■視点
 ◇3者の姿勢、検証を
 平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡の無償譲渡と、守山市立守山女子高の立命館守山高への移管を巡り、立命館側から平安女学院に10億円を財政支援することが新たに分かった。一連の問題は3者に県がからみ、非常に複雑な取引が行われている。整理すると、平安女学院側がキャンパス跡を7億円で立命館に譲渡し、守山市の介在で複雑な権利関係を一掃する形。その一方で、守山市が同学院側への補助金25億6000万円の返還放棄と県の補助金6億円余りの肩代わりで、計約32億円の損失を背負うという、バランスを欠いたものに映る。さらに市は生徒の気持ちや学校の歴史を置き去りにして、守山女子高まで立命館側に譲渡することにしてしまった。
 財政支援について、市は「全く関知していない」という。本当に知らなかったなら、市は両法人にかやの外に置かれていたわけで、逆に3者が協議した上での支援なら、故意に市の財産に損害を与えたと批判されても仕方がない。問題解決を急ぐあまり、市民の財産を簡単に手放す市の姿勢は、監査を通じて厳格に検証されるべきだ。
 一方、支援を公表してこなかった両法人側も、生徒や保護者への説明責任を果たしていない。納めた授業料が、知らない間に他の学校のために使われるのであれば、私学教育の信頼を損なうことにもならないか。将来を担う子どもを預かる以上、より高い情報公開への姿勢が必要だ。【阿部雄介】