大学人の会ニュース 14(2005/09/20)
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川戸佳代さん,9月18日,学術人権ネットワーク(AHRN)・シンポジウムで報告 |
9月18日,京大会館において,学術人権ネットワーク(AHRN)のシンポジウム「全国の大学における人権侵害と学術人権ネットワークの課題」が開催されました。このシンポにおいて,川戸佳代さんは1人のシンポジストとして招かれ,以下のような趣旨の報告を行いました。 |
平成17年9月18日 各位 平安女学院大学キャンパス移転問題 平安女学院大学4年生 はじめに、8月から「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」が結成され数々のご尽力をいただきましたことを心からお礼申し上げます。また、署名サイト等によって多くの方々にご署名をいただきました。本当にありがとうございました。 平安女学院大学は、滋賀県および守山市から巨額な補助金を受けて守山キャンパスを設置しておきながら、わずか5年で高槻キャンパスへの移転・統合を決定しました。私たち学生が、今年度から守山キャンパスの閉鎖(高槻キャンパスへの移転)の事実を知ったのは、平成16年4月10日付の新聞記事(「びわ湖守山キャンパス、高槻に 統合平安女学院が検討」京都新聞
)によってでした。1年生は4月3日に入学してから1週間後に統合を知るというものです。 就学権確認訴訟の公共性 私立大学の中には補助金によってバブル時に設置されたキャンパスの統廃合が起きています。第2次大学新設ブームと言われる1996年から2002年までに開学した80校が平安女学院と同じように、自治体から補助金を受け地域振興の名の下に設置されているようです(『大学激動 転機の高等教育』朝日新聞社出版、2003年)。少子化が進み学生数が減ると見込まれている現在においても新設大学は増え続けています。このように競争が激化するなかでも守られなければならないのは学生の就学権です。平安女学院大学のように、教育を極端に商品化し、ビジネスのごとく振る舞う大学が今後も出てくることでしょう。このような大学は、短期的に「採算が合わない」と判断したら、学生の意向など無視してどんなことでも行うかもしれません。そうした場合、学生の学ぶ権利や就学条件はどこまで守られるのでしょうか。在学契約の趣旨はどこまで保障されるのでしょうか。これが私の訴訟における問いかけです。この就学権確認訴訟は全国でも初めての例で極めて公共性が高い事件とされているため、判決は平安女学院だけの問題ではなく私立大学全体に関わってくることでしょう。 自治体から補助金を受け設置された大学に見る学生の就学状況 大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということです。 経営破綻した立志館大学に見る学生の就学状況・転学支援措置 私立大学として初めて経営破綻した(2003年)立志館大学の場合、在学生のうち希望する学生は近隣の呉大学に転学することができました。文部科学省高等教育局私学部長は、衆議院文部科学委員会(第156回国会第1号 平成15年2月25日)において、「・・・一つには、学生本人の同意が得られた場合には在学生をこの呉大学へ転学させること、二つには、卒業まで現在の立志舘大学のキャンパスで授業を実施すること、三つには、転学にかかる入学金、委員御指摘の入学金の件でございますが、免除するということなどを前提に、すなわち在学生の負担が少しでも軽減されるような配慮を」と答弁しています。 平安女学院大学には、このような就学上の不利益を考えた的確な措置が行われていなかったため、なかには退学せざるを得ない学生や転学費用をアルバイト代で賄った学生もいました。学院側には、このように学生に対して入学前に示した学びの条件を卒業まで保障することを前提とした経営改善計画が求められるべきであると思います。 この事件についての詳しい情報は、次のホームページをご参照下さい。 平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会 |