資料(5)
立命館守山高校設立に関する経緯について

資料(5)
立命館守山高校設立に関する経緯について

2005年9月4日
学校法人立命館
常任理事会

■はじめに
 立命館守山高校に関して、最近の交渉等の経過について、以下のとおりまとめました。ここに、記します内容は、9月2現在の進捗状況を中心としています。また、本内容は、立命館学園教職員向けの説明のために作成したものであることを最初にお断りをしておきます。

■立命館守山高校創設に係るこの間の経過

1.滋賀県に附属高校を確保する件について
 立命館は私立学校として学園アイデンティティーの形成のために、学部生構成比率の20%程度を附属校出身者で構成することを目標としてきましたが、現在は12〜13%程度であり、京都と並ぶ拠点である滋賀県での附属校確保はかねてからの課題でした。とりわけ国立大学との競合関係が厳しい理工系においてその構成比率で8〜9%程度であることは緊急の克服すべき課題となっています。
 しかし15歳人口減少の下で、私立学校の経営者で構成されている都道府県の私立学校審議会において、独自に新設の中学・高等学機設置認可は困難であり、いずれかの学校との合併しか方法はありません。立命館宇治高校も立命館慶祥高校も既存の学校との合併によるものです。
 このような条件の下、守山市長から経営困難に陥っている市立守山女子高校(以下、守女)の立命館への移管が申し入れられました。

2.守女の立命緒への移管について
 守女は創立50年を超える県下唯一の市立高校ですが、女子高校であること、職業高校であることの二つの制約を改革できないままに推移し、近年急速に定員割れを起こし、人口7万人足らずの守山市において年間約5億円の出費が必要となっていました。その上に生徒比率の75%が守山市以外からの生徒で、守山市在住の生徒は25%となっているのが現状です。
 守山市としての選択判断は
 ^き続き市立高校として運営するという方針は、2006年に予定されている県立普通高校の全県一区化に市単独で対応できる力は無く、定員割れの拡大と、赤字の増大が予測されることから、断念せざるを得ない。
 県立高校に移管する方針は、近隣に県立守山高校があるために、県が引受けることはできない。
 50年の伝統ある学校を廃校にするのは同窓会その他社会的批判を受けることになる。
 し覿鼻⇒力な私立学校に引き継いでもらう以外は手立てはない。
 こうした中で守山市(市長ならびに市読会)としては、立命館に引き継いでもらうことが最も現実的で有効な方策であると判断したのです。
 今回の移管は、公立高校が行き詰まり、それを学校法人が引き継ぎ再生をはかるという我が国では初めてのケースとなり、全国的にも大きな注目を集める事となりました。

3.新しいキャンパスの確保について
 ところが守女は600名規模の学校であり、立命館が引き継いだ場合、私立学校としての経営採算規模としては小さすぎ、最低1200名規模にする必要があります。そのために新たなキャンパスを確保する必要があり、立命館は守山市に責任を持って対応することを求めました。
 そこで守山市は、予てからの懸案事項であった平女守山キャンパス問題の解決を立命館に依頼し、そのことによって、立命館守山高校の新たなキャンパスを確保する方策を追求したのです。
 「大学を核とした街づくり」を推進するために守山市が25億円、滋賀県が8億円の補助金を出して平女を誘致し、平女が21億円を出費して、平女大守山キャンパスを建設しました。ところが平女の当該学部では18歳人口減少で当初の定員を半分も確保できず、私学助成さえ受けられない事態に直面し、定員削減の上に2005年度から全面的に高槻キャンパスに移転することになりました。そこで県と市は平女に「補助金の返還を求めましたが、経営困難に陥っている平女には返還する力は無く、また県と市が訴訟に訴えても誘致を受けた平女には補助金返還の明確な義務はなく、裁判は長期化が予測され勝利の見通しのめどもありませんでした。
 そこで立命館が平女を支援することによって、平女が平女守山キャンパスを守山市に寄付(返還の明確な義務はないので寄付−守山市と合意)し、守山市はそれを立命館に無償譲渡し、立命館守山高校の新しいキャンパスとすることにしたのです。

4.平女への支援策について
 平女が平女守山キャンパスを守山市に寄付するには、二つの要件が必要でした。
 一つは、借金をして投資した21億円の一定部分が回収できるように立命館が下記に記す平女への支援策を行うこと。
 二つは、守山市は平女から寄付された平女守山キャンパスを立命館に無償譲渡すること(守山市と立命館の問で交わした覚書に明記され、市長が署名し、5月議会での議決を得ている)。
 立命館から平女への支援策は3つです。
 (申高校から毎年30名の推薦を受け入れる…このことによって現在定員割れを起こしている平安女高校について質を確保しつつ定員を確保できる。
 ∧申の教育・研究推進強化募金に応じ7億円を寄付する。
 C簡殄佞3億円を貸し付ける。
 なお△亡悗靴討蓮当初、立命館から平女への支援寄付は法制度上困難であるとの判断もあったので、平女が所有している京丹後市のセミナーハウスを購入するという形式で進めることにしました。しかしその後、詳細な調査検討をする中で、私立学校法人が、他の学校が行う教育・研究事業への寄付は、法制度上可能である事が判明しました。そこで7月14日の時点で、文部手科学省家を訪ね、経緯を説明の上、平女支援のために7億円を寄付することについて報告し了承を求めました。その際、文部科学省からはr守山市、平安女学院、立命館の三者に益のある良い解決策である。守女問題、平女守山キャンパス問題という二つの難問事項を解決していただき、また困難に陥っている平女のために支援策をとっていただいたことに感謝したい。私学が私学の教育・研究事業に寄付することは制度上なんら問題はない」との回答を得ました。
 このことによって立命館は立命館守山高校を採算の合う学校として経営できる新しいキャンパス(当初価格54億円、現時点での評価額33億円)を7億円で確保出来ることになったのです。
 したがって本学の平女への寄付は、立命館守山高校の設置とそれを保障するキャンパス確保のための中心的な施策なのです。
 なお守山市が平女から寄付された平女守山キャンパスを立命館に無償譲渡するのも[命館による守女の継承、長期の裁判によって未利用状態が続くことよりも、平女に代わって立命館が平女守山キャンパスを有効に使うことで、街づくりの新たな活性化につながること、N命館守山高校が旧平女キャンパスに移転した後には旧守女キャンパスは立命館によって解体整備の上返却され公的財産として使用できる。これらを総合的に見た場合、市民の利益になると判断したからです。

5.立命館の平女への支援について
 立命館が平女守山キャンパスを確保し立命館守山高校のキャンパスとすることとかかわって、平女の教育・研究事業に寄付することは、客観的には京都の他にあって130年を超える歴史を持ちながら困難に陥っている平女の再生を支援することにもなります。今日の私立大学をとりまく厳しい環境の下、学術文化の都である京都の他にあって、伝統ある私立大学の低迷・倒産は払立学校全体の社会的地位の大きな後退につながり、立命館の支援によって再生に協力できることは名誉なこと といえます。
 同時に立命館にとっては新たな提携先を確保し、18歳人口減少の下で、平女高校から安定的に一定の質の学生を確保できる一歩となり、また平女大学・短期大学へ本学大学院後期課程修了者の教員採用の道を開き、私立学校の新しい提携を築くことともつながります。
 なお(申高校は立命館への30名推薦枠確保によって定員確保を含め再建への方策を得ましたが定員割れを起こしている大学の再建策はこれからです。
 なお、 嵎申支援」は、それ自体が目的ではなく、立命館としてはあくまでも立命館守山高校の設置と、そのキャンパスとしての平女守山キャンパスを確保するために行うものです。しかし「支援」という形式を取る限り、それが有効に機能することが望ましく、その限りで様々な智恵を提供することも重要なことです。ただ、それは平女の経営に責任を負うということではありません。
 守山市は滋賀県、守山市、平女の間の合意に基づき、8月の臨時市議会で
 ー藥鎧圓亙申から平女守山キャンパスの寄付を受け入れる。
 ⊆藥鎧圓亡麌佞気譴詈申守山キャンパスには、滋賀県が平女に補助した8億円も含まれていることから、5年間の減価償却を考慮し、守山市が滋賀県に6億1700万円を支払う。を議決し、8月30日、平女守山キャンパスの守山市への移転登記を完了しました。
 続いて9月16日から9月議会が開催され
 10月4日、守山女子高の廃止。
 10月13日、守山女子高跡地の立命館への無償貸付。平女守山キャンパス跡地の立命館への無償譲渡。
 の議決を予定しています。
 なお、それに先立ち9月1日付けで、守山市と立命館との覚書を変更し、仮契約書を交わしました。現行の守山市と立命館の覚書で記されている守女キャンパスの立命舘への「無償譲渡」だと、立命館が一年以上にわたって旧平女守山キャンパスと守女キャンパスの両方を所有することになるので、守女キャンパスについては「無償譲渡」から「無償貸与」に変更します。
 以上の経緯を見れば、今回の取組みが本学に多大な成果をもたらすことは明らかです。

6.滋賀県との関係
 滋賀県は8月11日に、守山市が平安女学院に代わって、県に対して6億1700万円を支払うことを発表しました。滋賀県は守山キャンパス開学に際して平安女学院に交付した補助金8億円のうち、5年の経過による減価償却などにより6億1700万円の返還を受けることを条件に、施設や設備を守山市に無償譲渡することを承認しました。
 本学としては、滋賀県にたいして、滋賀県が平女誘致に当たって補助した8億円を本学に継承することを求めましたたが、滋賀県は「‖膤悗魍砲箸靴審垢鼎りということで、補助をしたので、高校誘致ということになれば目的が異なるのでできない。校地、校舎はすべて守山市に返還されるので、守山市から県が補助した分を原価償却した上で返還してもらう予定である」との回答を受けました。その後、滋賀県と守山市の間で合意され、上記のようなことになったのです。
 なお滋賀県は県補助金の対象となった本部研究棟や講義棟、図書館(合計25億円などの現在の価値について、5年経過したことなどを踏まえ、約19億円と査定しています。これに県が負担した比率32%をかけて返還額を決めました。
 滋賀県は県民への説明のために、守山市議会開催前に広報発表したのです。

■さいごに
 立命館守山高校の創設は先にも述べたように、立命館学園全体、とりわけ、理工学部、情報理工学部の進学者の質的量的充実にとって重要な意味をもつものです。そのために学園全体の取り組みは今後も一層の努力を必要としています。去る7月31日に開催された同校の進学説明会は約700名の中学生、父母が集まりました。立命館守山高校は、多方面からの期待が集まっています。しかし、2006年度から滋賀県の高校入試は全県一区となり、今まで以上に序列化がすすむことが予想されます。そうしたなかで特色を明確化し、滋賀県のなかで同校の優位性を強く打ち出していかなければなりません。また、今後立命館学園全体のなかで附属校政策について積極的に議論していく必要があります。2006年度は立命小学校も開学し、立命館の一貫教育が新しい段階に入ります。
 先日来、特色GPや現代GPの採択結果が発表されています。大学教育の質が厳しく社会に問われているのです。まさに本学が総合学園の優位性を発揮することが求められているといっても過言ではありません。立命館守山高校の創設は、そうした社会全般の期待に応えた理数系に強い、国際色あふれる高校としていかなければなりません。
 常任理事会は確信をもってこの事業の推進に努めます。教職員の皆様の一層の教育研究活動の前進を期待するものです。

以上