仮処分決定全面勝訴報告集会決議

 鹿児島国際大学教職員組合


 2002年9月30日鹿児島地裁仮処分命令によって、鹿児島国際大学経済学部教授の田尻、馬頭、八尾の三氏と、それを支持する私たちの主張が全面的に認められました。
 三氏は、2002年3月31日、津曲学園理事会から懲戒解雇というきわめて重い処分を受けました。これに対して、三氏は懲戒解雇処分は不当であるとして、地位保全と給与の支払い、研究室利用を求めて、鹿児島地裁に仮処分を申請しました。また、私たち鹿児島国際大学教職員組合は、組合員である三氏の懲戒解雇は不当であり、三氏の地位と権利は守られるべきだと考え、理事会に処分の撤回を求めるとともに、三氏を支援してきました。今回の決定はこうした三氏と私たちの主張を全面的に認めた画期的なものであるとともに、社会常識にもそった当然の決定です。
 今回の仮処分命令では、三氏のいずれについても、懲戒解雇事由に該当する事実は認められず、「本件懲戒解雇は無効といわざるを得ない」と明確に断言しています。したがって、仮処分として、三氏が津曲学園に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることを定め、学園に対して、2002年10月から2003年9月までの1年間、三氏によって申請された全額の給与を支払うことを命じています。また、「大学教授にとって、研究室を利用することは、十分な教育及び研究を行うために必要不可欠な、その身分に直結した権利の一つ」であると認め、三氏の研究室利用妨害を禁止しました。
 理事会は、今回の決定を厳粛に受け止め、ただちに三氏に対する懲戒解雇処分を撤回すべきです。理事会は、この決定に対して、本訴で最後まで争うと表明しています。しかし、もしただちに処分が撤回されず、本訴に入ることになれば、今後も長く係争が続くことになります。それは、鹿児島国際大学の内外に対立の構造をつくり続け、学生とその父母、教職員、卒業生などを巻き込み、教育・研究に支障を与え、社会的評価を下げ、経営に響く事態を招きかねないものです。このことは、鹿児島国際大学関係者一同にとって、たいへん不幸なことであり、ぜひとも避けるべきだと考えます。
 また、裁判所の命令通り、大学教授の当然の権利として、三教授が十分に教育及び研究をおこなえるように、原状を回復し、従前と同様の条件を確保すべきです。
 鹿児島国際大学教職員組合では、昨年の懲戒理由書の送付以来、団交を要求してきましたが、理事会に拒否されてきました。今回の仮処分決定を受けて、組合はあらためて、懲戒解雇処分撤回、三氏への謝罪、原状回復、完全職場復帰を求めて、理事会に団交を申し入れます。理事会がもし団交を拒否した場合には、労働組合法に規定された不当労働行為にあたるとみなし、地労委に提訴します。理事会の誠実な対応を求めます。
 しかし、理事会が私たちのこれらの提案を拒否し、ただちに処分を撤回しないのなら、本訴で完全勝利をめざす三氏を最後まで支援していきます。

一、三氏に対する懲戒解雇処分をただちに撤回することを、理事会に求めます。
一、三氏に対して謝罪し、名誉を回復することを、理事会に求めます。
一、仮処分命令に従って、三氏が十分な教育及び研究をおこなえるよう、従前の教育研究条件を確保し、三氏の教育や研究を妨害しないよう、理事会に求めます。
一、今回の事態を解決し、また三氏が完全職場復帰できるよう、組合は理事会に対して団体交渉を申し入れます。
一、理事会が団体交渉を拒否した場合には、不当労働行為とみなし、地労委に提訴します。
一、三氏が名誉を回復し、完全職場復帰を果たすまで、組合は三氏を支援します。

以上、決議する。

2002年10月2日      
鹿児島国際大学教職員組合



団交要求書


 2002年10月2日、鹿児島国際大学教職員組合は、仮処分決定報告集会を開催しました。この集会は、組合員である三名 が貴職から「懲戒退職」処分を受けたため、三名が申し立てた地位保全等仮処分申請に対して、9月30日鹿児島地裁から 仮処分命令が下されたのを受けて、開催したものです。私たち鹿児島国際大学教職員組合は、この集会決議にもとづき、団体交渉を申し入れます。
 健全なる労使関係を維持し、教職員の労働環境をよくし、また本学園を維持発展させるため、ぜひともお受けいただけるよ うお願い申し上げます。なお、残念ながら貴職が団体交渉を拒否した場合には、労働組合法に規定された不当労働行為で あるとみなし、地労委に提訴することを考えていることを申し添えておきます。団体交渉の日時については、2002年10月10 日までにご回答いただけるよう重ねてお願い申し上げます。

1.貴職がおこなった、鹿児島国際大学教職員組合組合員三名への「懲戒退職」処分に関する件

2.上記の件について、2002年10月19日までの適切な日時で、団体交渉をおこなうこと。

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-8より

鹿国大理事会 組合の団交を要求に対する回答。



回答


1.鹿児島国際大学教職員組合につき、法務局にて貴組合の登記を確認できませんでしたので、組合規約、組員名簿、役員名簿の提出を求めます。


2.団体交渉の申し入れについては、上記1記載の書類を受領後、あらためて検討の上、回答します。」

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-8より

理事会は無条件でただちに団交に応じよ!


 10月2日付の団交申し入れについて、理事会は回答指定日の10月10日をはるかに過ぎる10月16日付で不当な条件をつけた回答をしてきました。回答全文は、次の2項目から成ります。


「1.鹿児島国際大学教職員組合につき、法務局にて貴組合の登記を確認できませんでしたので、組合規約、組員名簿、役員名簿の提出を求めます。
2.団体交渉の申し入れについては、上記1記載の書類を受領後、あらためて検討の上、回答します。」


 団交開始に不当な条件をつけることは、労働組合法で禁止されている不当労働行為に当たります。組合規約や役員名簿はすでに公表され、理事会も承知しているはずです。誰が組合員か詮索することは、組合への支配介入に当たり、これも不当労働行為です。これらの書類を提出すれば団交に応じる保証があるかといえば、「改めて検討」するという不誠実極まりないものです。
 10月16日付の拡大執行委員会は、このような不当な条件を拒否し、理事会の引き延ばし策動に抗議するとともに、原告・弁護団が早期に鹿児島地方裁判所に訴状を提出するならば、これを全面的に支援することを決定しました。本訴に入れば、理事会の解雇の不当性が1年近くも追及され、学園全体のイメージダウンになることは明らかです。学園内外の早期自主解決を求める声は高まっています。そのため、執行委員会は嫌がらせとも思われる些細なことにこだわらず、学園全体の利益代表として、誠実に団交に応じるよう再度要請します。



団体交渉の申し入れ書

 2002年10月16日付の貴理事会の回答は、団体交渉に今回新たな不当な条件をつけ、事実上交渉を拒否したに等しく、組 合として容認できるものではありません。組合規約と役員名簿は公表されており、承知済みのはずです。組合員の詮索は、 組合に対する支配介入に当たり不当労働行為です。
 学園内外の早期に自主解決を望む声は高まっています。原告・弁護団は来週中にも鹿児島地裁に訴状を提出する予定で すが、交渉で円満解決を見るならば、本訴を取り下げることを原告・弁護団に提起します。再度、無条件でただちに交渉に応 じるよう、下記の通り申し入れます。


1.従来の慣行にしたがって、無条件で、鹿児島国際大学教職員組合組合員三名への「懲戒退職」処分に関する件につい て、団体交渉に応じること

2.上記1の件について、2002年10月25日までに回答すること

 

鹿国大理事会 組合の団交を要求に対する回答書。



回答書

2002年10月18日付、「団体交渉の申し入れについて」と題する書面に対し、下記のとおり回答します。


 組合員規約や役員名簿は、既に公表されているとのことですが、当方では確認できておりません。公表されているものなら 提出には何の問題もないことですから、直ちに提出してください。
 また、「一般的に、使用者が個々の労働者が組合員であるかどうかを知ろうとしただけで、直ちに支配介入にあたるもので はない。」と考えております。(平成7年同主旨の最高裁判決があると聞いています。)
 組合員名簿の提出を求めることは一般的です。組合員名簿の提出要請が支配介入の不当労働行為にあたるとの貴組合 の見解には同意することができません。
 団体交渉に応じるかどうかを検討する最低限度の資料として必要ですので、組合員名簿の提出を再度求めます

 

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-10より

鹿国大組合 三教授の学内での権利回復を申し入れる


 10月2日付の学長通達は、三教授の研究室以外の立入りを禁止する極めて不当なものです。仮処分決定を曲解する措置については、11月9日付で組合の見解を対置して直ちに撤回するよう学内交渉を申し入れていましたが、今に至るも回答がありません。この間、新たに加えられた不当な措置もあります。
 組合は、三教授から出された要望をまとめ、来週中に学内交渉に応じるよう本日(15日)申し入れました。仮処分命令と学長通達についての組合の見解を示すとともに、直ちに回復すべき要求として次の7項目を挙げています。


1. 学内LANの使用を認めること
2. 学内の複写機使用を認めること
3. 図書館での貸出とコピーを認めること
4. 研究紀要の執筆を認めること
5. 教授会・学科会議等の会議の出席を認めること
6. 来年度の授業担当を認めること
7. 研究室にネームプレートをつけ、メールボックスの利用を認めること
 各持ち場でも、権利回復に御協力ください。

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-11より

鹿国大組合 11月29日(金)に、「団交促進」で地労委に斡旋申請



 理事会は昨年末以来、懲戒問題に関しては団交を一貫して拒否してきました。仮処分命令についても、研究室以外の立入禁止を通告するなど、司法の命令に背く解釈をしています。解雇撤回は本訴で決着を付けるにしても、三教授の権利回復の学内交渉の拒否は見逃すわけにはいきません。11月29日に地労委に斡旋申請書を提出します。


 斡旋申請があると、地労委は団交の取り持ち、主張のとりなし、斡旋案の提示をします。一方が応じなければ、調停・仲裁の手続きに移ります。労働者委員は連合幹部、使用者委員は県経営者協会専務理事など県内を代表する企業の幹部です。斡旋申請は、正常な労使関係に戻すために避けて通れません。理事会の不当性を県民世論に訴える場として活用していきます。

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-18より

鹿国大組合 地労委あっせんの前にした執行委員会声明の発表。


地労委あっせん、いよいよ2月6日(木)に迫る
団交促進などを求めて組合が申請し、鹿児島県地方労働委員会に受理された「津曲学園争議あっせん事件」のあっせんが、いよいよ2月6日(木)におこなわれます。地労委あっせんを前にして組合執行委員会を開き、基本的な見解をまとめましたので、ここに示します。


 

理事会は団交に応じ、正常な労使関係を確立せよ


2003年1月30日 鹿児島国際大学教職員組合執行委員会

対等な労使関係をうたう労働基本権


 日本国憲法28条は、勤労者に労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保障しています。労働組合法は、「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」を目的にうたい、労働三権保障の手続きを定めています。その7条には使用者がしてはならない不当労働行為として、組合員であることを理由に解雇するなどの不利益取扱い、団体交渉の申入れを正当な理由なしに拒否する団交拒否、労働組合の結成や運営への支配介入などを掲げ、これらの行為を禁止しています。
 法が労働者を保護するのは、使用者と圧倒的な力関係の差があるからです。使用者には解雇権がありますが、職場での人権侵害があっても労働者は運動でしか使用者の責任を問えません。今回の解雇事件でも、理事会は学園の財政と職員を使い、証拠書類を独占し、さまざまな宣伝手段を駆使しています。大学のホームページには、先の口頭弁論で述べた学長の意見陳述と理事会の答弁書が掲載されています。ところが私たちには、学内で宣伝する自由すら与えられていません。職場に憲法も人権もないに等しいこのような状態を、そのまま許してよいものでしょうか?私たちは三教授の生活と法廷闘争を支えてきましたが、これはよりよい大学をつくるためにも、解雇権の濫用を防ぎ、安心して研究や教育などの職務に従事できる環境、教職員の権利が不可欠だと考えているからでもあります。

地方労働委員会に団交促進のあっせんを申請するに至った経過


 理事会は、一昨年10月から11月にかけて三教授などに懲戒理由書を送り付け、弁明聴聞を始めました。組合は、弁明聴聞への立合いと懲戒理由書の公開を求めて11月9日付で要求書を提出しましたが、理事会はこれを拒否したため、昨年1月20日付、2月18日付、3月4日付と三度にわたって団交申し入れをしました。理事会は「学園が送付した『懲戒理由書』は個人に関する事であり、交渉には応じられません」(3月19日付)と、いずれも拒否しています。組合は、教職員の生活と権利を守る組織です。個人を守るために団結権、団体交渉権が与えられているのです。理事会の団交拒否は正当な理由がなく、団交に応じる義務を定めた労働組合法に違反しています。
 昨年9月30日の仮処分決定は、自主解決の道を開くと判断し、10月2日組合は団交を申し入れました。理事会は同月16日、組合規約、組合員名簿、役員名簿の提出を求めてきました。10月18日、組合は再度無条件でただちに交渉に応じるよう申し入れたところ、同月25日理事会は「団交要求に応じるかどうかを検討する最低限度の資料として必要ですので、組合員名簿の提出を再度求めます」と回答してきました。この回答で理事会は、「『一般的に、使用者が個々の組合員であるかどうかを知ろうとしたというだけで、直ちに支配介入にあたるものではない』と考えております。(平成7年同主旨の最高裁判決があると聞いています。)」と述べています。これは平成7年9月8日の最高裁判決を指すものだと思われますが、この最高裁判決は続けて、「組合加入が判明することによって具体的な不利益が生ずることをうかがわせるような状況の下で、組合員に動揺を与えることを目的とするような場合であれば格別」という条件をつけています。今回の懲戒処分は、「具体的な不利益」を予告する「みせしめ」の効果があります。そもそも団交にあれこれと条件をつけること自体が不当労働行為にあたりますが、この回答は弱い立場にある労働者の人権への配慮を欠いたもので、事実上団交を拒否したものと判断せざるをえません。


 
正常な労使関係を確立し、自主解決を訴える


鹿児島県地方労働委員会へのあっせん申請は、対等な労使関係を確立する上で、避けて通れません。理事会があっせんを拒否した場合、組合は不当労働行為に対する救済申立てをします。申立てがあると労働委員会は審査を行って、その事実があると認めたときは、使用者に対して、そのようなことをしないことなどを命ずることによって、労働者や労働組合を救済することを決めています。いずれにせよ、理事会は団交拒否を続けることはできません。
 今回の解雇事件は、学園だけでなく、全県・全国の人々が憂慮し、一刻も早い解決を望んでいます。これ以上法廷で争うことは、計り知れない損失です。交渉のテーブルに着き、真摯に話し合ってみようではありませんか?理事会があっせんを受諾し、早期の自主解決を決断するよう切望します。

 

 

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-19より

地労委あっせんにより、理事会が団交を受け入れる


 組合が鹿児島県地方労働委員会(地労委)にあっせんを求めていた団交について、地労委は組合側の主張を全面的に認め、団交開始を強く勧告、理事会が団交を受け入れることになりました。


 地労委あっせんは、2月6日13時30分すぎから、県庁15階にある地労委尋問調整室で行われました。組合側の出席者は長沼委員長、山田前委員長、八木書記長、田尻教授、八尾教授の五名でした。出席者が五名以内と決められていたので、馬頭教授には控室で待機していただきました。理事会側の出席者は、野村大学事務局長、永田学園本部事務局長、松田学園本部総務部長の三名でした。また、地労委のあっせん員は、公益委員・久留達夫(弁護士・地労委委員長)、労働者委員・福永宗郎(連合副会長・南国交通労組委員長)、使用者委員・諏訪秀次(鹿児島トヨタ自動車社長)の三氏でした。


 最初にそれぞれの自己紹介を簡単に行った後、あっせん員がそれぞれの主張を聞くということで、まず理事会が退席し、組合が30分ほど今回のあっせんに至った経過やその主張について説明しました。あっせん員からは、「今回の争議の背景はどうなのか」について質問があり、この間の一連の「大学改革」の中で、教授会の権限などが奪われつつある中で起きていることなどを述べました。また「裁判で争われているのに、なぜ団交をしなければならないのか」という質問には、解決が遅れるほど学園に関係するすべての人々の損失が大きくなるので、裁判の結果を待たずに早期に解決したいこと、完全職場復帰をめざしていること、三教授の研究室以外の学内施設の立入禁止を早急に解除してほしいことなどをあげて、団交が必要なことを、組合から説明しました。


 この後、組合が退席して、理事会が主張を述べました。その際、あっせん員によれば、理事会がこの問題で団交を拒否してきた理由は、個人の問題であること、当事者の三人が組合員であるかどうか不明であるので組合員名簿の提出を要求したことなどについて、述べたようです。
結局双方2回ずつのあっせん員との協議により、団交をおこなうことなどが決定しました。
この後、双方がふたたび顔を合わせて、地労委のあっせん案の口頭勧告が行われました。
あっせん案を示した久留地労委委員長はまず、「これを機会に、今後は正常な労使関係を築くよう、労使双方努力していってほしい。この点については、地労委も重大な関心をもって見守る。」と述べた上で、次のことを勧告しました。


1.団交を開始する。
2.団交の日時、場所、交渉事項などは、労使双方が事前に話し合って決定する。この事前協議により、日時など詳細が決定した際は、地労委に速やかに報告する。
3.団交が行われた際には、その内容、結果などを、地労委に速やかに報告する。

 なお、理事会は春闘団交といっしょにやりたいと主張しましたが、団交当事者が異なるなどの理由で、この三教授懲戒解雇問題については春闘団交とは別個に開きたい、という組合側による主張を認め、別個に開催することが決まりました。
また、理事会側が求めていた、組合規約、組合員名簿、組合役員名簿のうち、すでに組合規約、組合役員名簿については、公表済みのもので理事会に示すことは何ら問題ないと表明していましたので、これを機会にあらためて自主的に示したいと思います。しかし、組合員名簿の提出については、組合側の主張を地労委が全面的に認め、地労委は「提出する必要はない」としました。
 

 地労委は、今後とも労使関係がスムーズに行くように注目していることを表明しました。ぜひ今回の団交により懲戒解雇問題で一刻も早い最終解決をかちとるとともに、今後とも重要な問題には、必ず団交を重ね、きちんとした議論をおこなって解決につなげていきたいと考えます。
なお、この地労委の決定については、本日付の南日本新聞、鹿児島新報(及びそれぞれのホームページ)にも掲載されています。それぞれ、全文を転載します。

 南日本新聞は、「団交へ労使協議を 鹿国大教授解雇 地労委が勧告」という見出しで、次のような記事を掲載しています。
「鹿児島地方労働委員会は6日、鹿児島国際大学教職員組合(長沼庄司委員長)と同大を経営する津曲学園(津曲貞春理事長)に対し、教員公募をめぐる教授三人の懲戒解雇問題について、両者が団体交渉の実現に向けて協議するよう口頭で勧告した。昨年11月末、組合が同地労委にあっせんを申請していた。
 勧告では団交の日時、場所、交渉事項を労使双方で話し合って決めた上で地労委に事前に報告することを求めた。団交が実現した場合は、その内容についても報告する。
組合側は三教授の地位保全を認める仮処分決定が昨年9月に出たのを受け、話し合いでの解決をめざして数回に渡り団体交渉を申し入れた。しかし、学園側が組合員名簿などの提出を条件としたことなどから実現していなかった。6日のあっせんの場で学園側は、3月の春闘の時期に合わせて懲戒問題に関する団交に応じる考えを組合側に伝えたという。
教授三人は11月19日、解雇無効などを求めて鹿児島地裁に提訴し、1月20日に第1回口頭弁論が行われた。」
また、鹿児島新報は「学園側と団体交渉へ 鹿児島国際大学3教授退職問題 県地労委の勧告受け入れ」の見出しで、以下の記事を掲載しています。
 「鹿児島市下福元町の鹿児島国際大学を経営する学園法人津曲学園(津曲貞春理事長)が、教員採用に絡み不正行為があったとして同大の3教授を懲戒解雇処分にした問題で、県地方労働委員会(委員長・久留達夫弁護士)は6日、同大教職員組合(長沼庄司委員長)と学園側との団体交渉のあっせんを行った。双方とも口頭勧告とあっせん案を受け入れ、団体交渉が行われることが決まった。
地労委は、団体交渉実施の日時と場所、交渉事項などを事前に打ち合わせ、団体交渉の結果なども含めて報告するよう勧告。学園側が交渉への条件とした組合員名簿と同役員名簿、同規約の提出については「役員名簿と規約は公になっているため提出。組合員名簿は提出の必要なし」とする案を出し、学園側も了承した。
同問題では、組合側が昨年1―3月にかけて学園側に団体交渉を3度申し入れたが、いずれも学園側が拒否した。三教授が鹿児島地裁に地位保全を求める仮処分を求め、同地裁が退職処分などを取り消す決定を出した後の10月にも申し入れたが折り合いがつかず、組合側は同11月に同委員会にあっせんを申請していた。」

 

 

鹿国大理事会 2003年2月26日付組合の団体交渉開催要求に対する回答


平成15年3月5日  

鹿児島国際大学教職員組合
 執行委員長 長 沼 庄 司  殿

学校法人 津 曲 学 園   
理事長  津 曲 貞 春 

団体交渉申し入れについて(回答)

 2003年2月26日付で提出された標記について、諸般の事情により申出の日時では出来かねる。よって次の日程で行ないたい。詳細については、下記のとおりです。


1.日時
3月24日(月)  @ 17時より18時まで(懲戒処分関係)
    同日   A 18時より18時40分まで(予備交渉)

2.場所
   鹿児島高等学校 本館 1階会議室

3.議題
@ については、懲戒処分関係について
A については,給与関係に係る予備交渉事項について

4.交渉メンバー
懲戒処分関係 永田理事、野村理事、松田本部総務部長
予備交渉   従来どおり

5.交渉について
(1)従来の慣行によりテープ等の録音は認めない。
(2)地労委への報告は、双方確認の上へ提出する。
(3)集会会場は準備する。
(4)元三教授の鹿児島高校への立ち入りは認めない。

以上

 

 

 

鹿児島国際大学教職員組合ニュースNo.2-22より

鹿国大組合 3月24日懲戒処分に関する予備交渉の結果と方針



 3月24日(月)鹿児島高校において、17:00〜18:25の1時間半近く、懲戒処分に関する予備交渉をおこないました。出席者は、組合側から長沼委員長、八木書記長、山田前委員長の3名、理事会側から永田本部事務局長、野村大学事務局長、松田本部総務部長の3名でした。
交渉はまず、この場が予備交渉か本交渉かをめぐって、紛糾しました。

 前回ニュースでお知らせしたように、組合は団交の条件に関する組合の申し入れと理事会の回答があまりにもかけ離れており、この条件そのものを話し合う予備交渉(事前協議)としておこなうことを事前に口頭で理事会側に伝えました。その際、理事会からこれに対する反論がなかったことから、組合は予備交渉としておこなうことを理事会側が認めたと考え、地労委にもそのように報告して、予備交渉と位置付けて臨みました。しかし、理事会側は組合から予備交渉としたいという要望は聞いたがそれを受けた覚えはなく、3月5日付の文書での回答が理事会側の最終回答であり、この場を本交渉とする、と述べました。

 理事会の見解は、組合の申し入れと理事会の回答というかたちで、文書によって事前協議はなされている、というものです。しかし、日時、場所、テープによる録音、地労委への報告、そして三教授の支援集会参加など、団交の条件をめぐって組合と理事会の主張がことごとくくいちがっているのだから、まずこれを解決しなければ、双方納得のいくような団交をはじめることはできません。また、理事会の一方的な回答によって事前協議が終わったとの解釈は、地労委のあっせんの主旨にも反するものです。地労委あっせんでは、団交の日時、場所、議題などについて、双方が事前にしっかりと打ち合わせて決めるようにいわれており、もしも双方の条件が大きく異なる場合には、話し合ってすりあわせをおこなうことが当然必要です。

 団交の条件について話し合われた実際の交渉では、三教授の支援集会参加の問題について、ほとんどの時間を費やしました。組合は、三教授は組合員であり、集会参加という組合員としての当然の権利を奪うのは認められないと主張しました。理事会は、三教授は懲戒解雇処分は現在でも有効であり、三教授は教職員ではなく、したがって組合員でもないはずだと述べました。しかし仮処分決定では、懲戒解雇処分は無効であり、雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めています。理事会は、仮処分決定はあくまで仮の措置であり、これについては不服であり、異議申し立てもしていると述べました。仮に定めるというのは、最終決定されたものではないとしても、現時点での有効性ははっきり認められるべきで、これに不服だからそれを無視してよいとする理事会の主張は、裁判所の決定を愚弄するものです。現に理事会は、給与の支払いや研究室の利用に関しては仮処分決定に従っているのだから、これらの措置の前提となる雇用契約上の権利を有する地位だけを否定するのは矛盾しています。

 結局、先日の交渉は三教授の集会参加をめぐって平行線をたどり、入口のところで物別れに終りました。この結果を地労委事務局に口頭で報告したところ、担当の審査官から労使双方が誠実に話し合うように促されました。執行委員会で議論した結果、懲戒処分問題での団交をまずきちんとおこなうことが、正常な労使関係を築くという地労委あっせんの主旨にしたがうことだと判断しました。そこで、三教授の組合員の権利としての集会参加の問題は非常に重要ですが、この問題の交渉は労使だけでは決着がつかないので、この問題をひとまず棚上げにして、まずは本交渉に入りたいと考え、3月26日付で懲戒処分に関する本交渉を4月1日の春闘団交終了後におこなうよう、あらためて申し入れました。
 これまで理事会から懲戒処分に関しての詳しい説明を、団交の場で組合として一度も受けていません。4月1日の交渉が認められれば、まず三教授に対して懲戒解雇処分という極めて重大な処分をおこなった理由やその経緯について、組合として説明を受けたいと考えています。これは、教職員の権利を守る団体である組合の当然の権利であり、裁判の進行とは関係のないものです。
 そのうえで、三教授の教育研究などに関する権利を具体的にどうするかの交渉は、当事者である三教授と相談しながらでなければできません。そこで、三教授の一般的な組合員の権利の問題とは切り離し、懲戒処分に関する団交に限って、三教授と団交団が相談できる場所を確保するよう求めたいと思います。同時に、三教授の集会参加など組合員としての権利を制限することは組合として絶対に認められないもので、この問題については、あらためて地労委にあっせんを申請することなどを予定しています。