第1回口頭弁論
原告側はすでに提出してあった訴状について、簡単な説明をしました。 一方、登場した菱山学長(証言台にたとうとしたら、傍聴席の管理職が礼をしたのが印象的でしたが)は、 「専門性が学者にとって命」とのべて、そこから「専門性、専門分野での科目適合性」に話をすすめ、これをないがしろにしたら国際的競争にさらされている大学は生き残れないとし、 「基礎理論の面で重なるからなどという、詭弁ともとれる欺瞞的な結論を専門家としての責任のない者の多数決で押し切るようなこと」 (学長は今回の人事をこう理解しているのでしょうね)では何の実績もあげられないし、国際競争にも勝てないと指摘しました。さらに、大学において死命を決する課題は「教員組織の中に科目適合性を有する専門的人材を擁するか否か」だとして、原告の行為は「科目適合性の否定、専門性、アカデミズムの否定」で「大学に対する、学問に対するもっとも悪質な背信行為であり、無責任で重大な非違行為だ」と、ひどく大上段にかまえた悪罵を投げつけてきました。最後に、自分は京都大学で大学の自治を学んできたが、原告の「主査に対する恫喝や怒声・暴言や多数決の強要等の行為の連続」は「大学の真の意味の自治を破壊する行為」だと、これまた、すごい表現で、原告を論難しました。 学長の意見陳述は、やたらと「専門性」 「アカデミズム」をふりかざすものでした。かえって、それが非常に視野の狭い学問論・大学論のように聞こえましたし、専門的な研究者がどうしても足りない中で奮闘・努力している地方大学の教員集団にとってはあまりにエリート主義(旧帝大意識)に思えました。 「法哲学や法社会学という基礎法学の分野の定年間近の先生に憲法・民法・商法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法等の授業ができるか」と学長は「科目適合性」を得意げにいわれましたが、高名な法社会学者・渡辺洋三先生は東大定年後、私立大で憲法を講義されていましたし、憲法学者・小林直樹先生はかつては東大教養学部の法学(専門は法哲学)担当だった(やはり、あまり詳しくない学問分野についていうと、さすがの「アカデミズムの権威」もぼろがでるようですね)。 経営学を専門とする先生が「経済学」を教えていることはないのかな? まあこういう話は、大学の中ですればいい話で、裁判所で、懲戒解雇の正当化のためにいうような話ではないでしょう。 その日に被告側からの答弁書が提出されました。増田先生のところにも事前にとどいていなかったようで、次回はこの答弁書に対する反論などが行われることになります。それに、仮処分決定に対する異議申し立てが12月25日付けで鹿児島地裁に提出されていることも判明しました。この「異議申し立て」は、民事保全法26条によりなされたもので、本案をあつかっている鹿児島地裁の同じ合議部で審査されることになると思われます。原告の「訴状」(11月19日)、被告の「異議申し立て」(12月25日付け)、「答弁書」(1月20日付け)はいずれも「守る会」事務局にありますので、お読みになりたい方はどうぞご連絡ください。 |
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