本訴の争点B (訴状の論理構造の要点)

 

 
本訴の争点B

3. 適正手続きに違背していること

(1) 憲法上、学問の自由が保障されており、とりわけ大学の自治が尊重されなければならない。大学の自治では、自由闊 達な研究とそれに不可欠 な研究者の身分保障が重要である。そのようなことから、教授や研究者 に対する懲戒処分がなさ れる場合、適正な手続として大学の重要な自治機関である教授会の議を経ることが必要であるとされている。殊に解雇 や 懲戒解雇のような重大な処分の場合には教授会の議決が必要であり、 これを欠く場合には、大学の自治を定めた憲法の 趣旨に反するものとして処分が違法、無効になる(前橋地裁、昭63.3.11判、労働判例514号6頁)
ところが、本件処分について教授会の承認はなされていない。したが って、本件は処分に必要とされる適正手続きの欠缺 があり、この点から も違法であり、効力は否定されるべきである。

(2) 被告学園就業規則第55条によれば、教員に対する懲戒解雇処分については、労働基準監督署長の認定手続を経な ければならないとされてい る。しかし、本件処分について同手続はなされていない。懲戒解雇は労働者の地位や財産を根こ そぎ剥奪するもので、就業規則上要求されている手続を履践しない本件懲戒解雇は、重大な手続を欠くものとして違法であ り、効力はないものである