解雇事件保全抗告申立裁判 学園側書面
 
主張書面(1) 2004年4月17日

 

 

 

 

 

平成16年( )第  号 保全抗告申立事件
抗 告 人 学校法人 津曲学園
被抗告人 田尻 利 ほか2名

主張書面(1)

2004年(平成16年)4月30日

福岡高等裁判所 宮崎支部 民事部  御 中

抗告人代理人
弁護士 金 井 塚    修
弁護士 金 井 塚  康  弘

一 違法な認可決定
 原決定が違法になされたことは、保全抗告状2ないし4頁に述べたが、次の 点を補足する。
  すなわち、刑事事件についてであるが、@裁判官が定年退官による資格喪失 後に署名押印して判決書を作成したときは、同書面は当然に無効である。A裁判書は、裁判官の在任中に作成されなければならない(東京高裁昭和45年11月2日判決、刑裁月報2巻11号1143頁、ご参考までに本書末尾に写しを添付する)との裁判例もある。この理は民事裁判の判決書作成には、より妥当するというべきである。というのも、判決の宣告は刑事訴訟法は「公判廷において、宣告によりこれを告知する。」と定めるのみで(342条)、判決書の作成は義務的ではあるが(刑事訴訟規則53条以下、例外は219条調書判決等)、法律上、宣告時に「原本」は不要である。民事訴訟法252条のような「判決の言い渡しは判決書の原本に基づいてする」との方式の規定はないからである。
  これを原決定についてみるに、同決定は3月31日付で作成されており、確か に退官した池谷泉裁判長の署名は「退官のため」署名できないと断り書きはあり退官した裁判官の資格のない者が署名したというまでの瑕疵はないが、裁判官の在任中に作成されていて速やかに決定されなければならないものであるところ、1月16日に依願退官した裁判官が、裁判官の資格がないのに違法に2か月半後の3月31日付の原決定書の作成に関与していたことは明らかな事例で許されるものではない。社会通念上も退官して裁判官でない者が、退官後2か月半も後になって、判決書を作成して宣告等するというような杜撰なことは、あってはならないことである。
 原決定は、その瑕疵の大きさ故に直ちに取り消されるべきである。

二 保全抗告状の訂正について
  保全抗告状には次の誤記等があるので訂正する。
 1 保全抗告状5頁 1行目
   抗告人に公募採用人事上の  →  抗告人からは公募採用人事上の
 2 同書5頁 3行目
   た(異議理由書2頁以下)。 →  た(異議申立書2頁以下)。
 3 同書11頁 12行目
   踏まえ、原告らの処分後の  →  踏まえ、被抗告人らの処分後の

以 上