2003910

UNION News Letter

鹿児島国際大学教職員組合

執行委員会 Vol.3-2

 

名誉毀損・損害賠償事件 第2回口頭弁論 次回で結審も!

 八尾教授・南日本新聞社に対する名誉毀損・損害賠償事件の第2回口頭弁論が、8月20日(水)午後110分より鹿児島地裁でおこなわれました。口頭弁論は、時間的には、約4分という短いものでした。また、その内容は、前回(第1回)口頭弁論で八尾教授・南日本新聞社側が理事会側に提起した問題[八尾教授の新聞論稿「『ボラン・システム』活用を 商店街の再生」における「鹿児島国際大学経済学部教授」という肩書きの記載、および仮処分決定事件報道における「復職」という表現がなぜ「名誉毀損」にあたるのか、その「根拠」は何か?] に対して、理事会側が、その回答を文書で提出するというものでした。しかし、その後、この理事会側の回答に対する処理をめぐり、八尾教授・南日本新聞社側がこの回答に対しては「反論があればおこなう」という意思表明をおこない、裁判長が、「次回、(八尾教授・南日本新聞社からの)反論がなければ結審もありうる」といわれたことは重要です。理事会側は、「損害立証のため、本人尋問もお願いしたい」との要請をしたようですが、それについは「書面で」ということになり、いよいよ次回9月24日の第3回口頭弁論[午後110分開廷]で結審となる可能性もでてきました。

増田弁護士によれば、今回のやり取りを通じて、おおよそ裁判官の心証が見て取れたようです。しかも、この裁判の行方は3教授懲戒解雇事件の本訴と裁判長が同じということもあり、この本訴にも影響する可能性が大です。今回の裁判傍聴は、被告を応援する側が理事会側を圧倒していましたが(約20名、理事会側2名)、給与の仮払い(継続)も含めて、この9月いっぱいがこの一連の裁判の帰趨を決する大事な時期となっております。3教授・南日本新聞社に対するより一層のご支援、よろしくお願いします。なお、次回からは鹿児島地裁が隣のピンクの新庁舎に移りますのでご注意下さい。

3教授懲戒解雇事件 第5回口頭弁論 開かれる 

異議申し立ては9月末までに決定!

 811日(月)午後110分より、鹿児島地裁で3教授が懲戒解雇無効を求めて提訴した本訴第5回口頭弁論が開かれました。傍聴席は満席、原告側の支援者は30名をこえ、理事会側(18名程度)を上回っていました。なお、その中には、わざわざ岩手県から富士大学の川島先生(理事会から不当解雇され、715日、勝利の仮処分決定をかちとった)も来られて傍聴されており、心強い限りでした。

最初、被告理事会側から提出された証拠書類(教授会議事録、理事会決議等)の原本が、これまでに提出されていた複本とくいちがっていたため、これの照合に10分ほどとられ、増田弁護士による陳述(811日付で原告が提出していた準備書面の概要)は、8分間しかあたえられませんでした。ただ、増田弁護士は限られた時間のなかであったにもかかわらず、3教授にたいする懲戒理由とそれに対する反論を簡潔に述べ、以下のとおり懲戒解雇にはいずれも理由がないこと[( )内はその反論]を示されました。

 田尻教授の懲戒解雇理由(反論)は、@科目不適合の候補者を教授会に推薦(候補者は当時現役の国立大学の教授で優れた学者(博士号取得)、科目担当者として抜群の業績を持つ研究者であり、全く誤りなし)A委員会を4回から8回に延長(委員会の延長は全員一致で決定、審議をつくしただけのこと)B連名による業績報告あるいは主査と副査の交代の二者択一を強要(委員会の結論に沿った報告書の作成を主査が断ったので、主査と副査との交代を提案)C暴言・脅迫(主査は、委員会では他の誰からも制約されることなく、自由に発言しており、脅かされたというのは偽り)ということです。

次に、馬頭教授については、@採用可とする業績評価報告書を副査が作成・提出(委員会の結論・意思により業績評価報告書を提出)A業績報告書の虚偽記載(全くなく、理事会側の学者生命を脅かす名誉毀損の主張は悪質)B暴言・脅迫(田尻教授Cに同じ)です。

さらに、八尾教授については、@議事運営(教授会の議長として議論を尽くした。退席者がでたからといって、採決に入ることを全員で決めた後、採決をやめたら、それこそ専断行為となる)A経営問題への介入(ない。大学院・新学部新設の懸念を表明しただけ)B学則改正で越権審議(学則改定の審議は、学則の規程に従ったもの)C学内外への文書送付(学園の将来を心配し、学長らに私信を送っただけ)D大学改革妨害(計画的妨害の事実なし。むしろ、学長に対しては親しみをもって接していた)という陳述でした。

最後に、法廷の席で、理事会側からだされている仮処分決定に対する異議申し立てについては、9月末までには、結論をだすとの裁判長の発言があり、損害賠償事件とともに、9月いっぱいがこの裁判闘争のヤマだということが明らかになりました。

なお、次回は924日(水)午後4時半からということになりましたが、残念ながら非公開です。ラウンドテーブルで今後の弁論準備・証人申請などの予定が協議されるようです。したがって、次々回の日程は、その時に決まるようですので、決定次第ニュースでお知らせしたいと思います。今後とも、より一層のご支援よろしくお願いします。

全国私大教研 セッション12分科会報告

 82日(土)〜4日(月)札幌学院大学において第14回全国私立大学教育研究集会(略称:全国私大教研)が開催されました。「大学の自治に新たな息吹を」と題するこの集会に、本組合からも1名参加、「権利侵害問題を扱うセッション12」(セッション名「大学教職員・組合の権利確立の取り組み」)では、「鹿児島国際大学3教授懲戒解雇事件」というタイトルで本事件をめぐる組合の取り組みを報告していただきました。

このセッションには、本組合だけでなく、以下のような全国のいろいろな私立大学でおこなわれている不当な権利侵害・不当労働行為とそれに対する取り組みが紹介されたようです。

1.      富士大学(配転・解雇事件。教育内容を理由に教員から事務員への配置転換。配置転換無効の仮処分決定後、解雇。/地位保全を求める仮処分裁判 全面勝訴)

2.      東亜大学(整理解雇事件。経営危機を理由に退職勧奨。拒否した教員4名を整理解雇/整理解雇4条件を満たしていないとして裁判 係争中)

3.      鹿児島国際大学(本学)

4.      秀明大学(解雇事件/20001131日 和解成立:不当労働行為事件。授業妨害、再解雇予告、自宅研修許可取り消し、授業はずし等々/千葉地労委に救済申し立て)

5.      湘南工科大学(不当労働行為・解雇事件。教授昇格妨害、地労委救済等を無視、解雇/横浜地裁[仮処分申し立て]全面勝訴)

6.      大阪芸術大学(不当労働行為・配転事件。組合執行委員長の配転/地労委申し立て)

7.      鈴鹿医療科学大学(就業規則不利益変更事件。退職金規程の一方的変更/裁判で全面勝利判決:「就業規則の一方的な不利益変更は許されない」)

 このセッション12に参加・報告されての感想として、報告・参加者は次のようなコメントをのこされています。@経営に問題がある場合が多い。A法廷闘争の他に大学内でもいろいろないやがらせがあるので、いちいちそれに反撃する必要がある。Bそのために、地労委は大いに利用すべきである。C理事会に教授会を利用される場合もあるので、手続き論で闘うには限界がある。

本学の組合の取り組みは、十分とはいえませんが、全国で権利侵害・不当労働行為とそれに対

する取り組みのなかでは、ひとつの先進的な取り組みと言っていいのではないかと思います。全国の経験に学びながら(裁判闘争になったところは、結局、理事会側の敗北に終わる)、また、全国の取り組みを励ますような取り組みを今後とも続けていきましょう。