仮処分判決の評価

 

 
全国連絡会事務局見解

呼びかけ人、賛同者、募金協力者各位

地位保全等の仮処分申請が全面的に認められました!!


 鹿児島地裁は9月30日、三教授の仮処分申請に対して決定を下しました。決定書面は主文と理由を合 わせて20ページにわたっています。取り急ぎ、主文の趣旨だけをご紹介します。


<主文の趣旨>

1. 債権者(三教授)らが、いずれも、債務者(津曲学園)に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあるこ とを仮に定める。
2. 債務者は、債権者に対し、各金   円をいずれも平成14年10月から平成15年9月までの毎月20日限り、 それぞれ仮に支払え。
3. 債務者は、債権者らが研究室を利用することを妨害してはならない。
4. 債権者らのその余の申立てを却下する。
5. 申立費用は、債務者の負担とする。

<事務局見解>


 決定主文および理由は、三教授の申立てを全面的に認めた。「懲戒解雇事由に該当する事実は認めら れないから……本件懲戒解雇は無効である」とし、三教授の地位保全を命令している。
 賃金の仮払いについては、向う1年間にわたり全額の支払いを命じている。また、大学教授の研究室利 用はその身分に直結した権利であると認め、研究室の利用を妨害してはならないとしたとは特に評価す べき内容である。
 なお主文の4は、1年を超える賃金の仮払いを却下したものと解されるが、それは、「無効」な「懲戒解雇」 をさらに1年以上も撤回せずにおくことは、常識的にはあり得ないという判断によるものであろう。
 私たちは、この決定に従って、鹿児島国際大学当局がすみやかに処分を撤回することを求める。三教 授の研究と教育における原状の回復を求める。大学での講義やゼミナールの再開と自由な研究の保障 を求める。
 もし処分が撤回されなければ、本訴に入らざるを得なくなり、長期にわたる争いを余儀なくされる。それ は三教授のみならず、鹿児島国際大学および学生・保護者・卒業生にとっての大きな不幸である。
 「鹿児島国際大学三教授を支援する全国連絡会」事務局は、裁判所の決定を鹿児島国際大学当局が 重く受け止め、すみやかに三教授の処分を撤回し原状の回復を行うこと強く求める。

2002年10月1日  全国連絡会事務局

 
 

 

 

 

 
仮処分決定内容の学習会資料(鹿国大組合)

学 習 会 資 料

三教授地位保全仮処分決定と地位確認本訴提訴

2002.11.20鹿国大教職組執行委員会


懲戒解雇された経済学部三教授は、9月30日鹿児島地裁で地位保全の仮処分決定を受けて、11月19 日鹿児島地裁に地位確認を求めて提訴しました。節目となるこの時期に、分かり易い形の資料を発行し て、支援の態勢を強めることにしました。
 組合は昨年来、組合総会やフォーラムを開催し、組合ニュース等で活動を報告してきましたが、周知さ れていない点もあるので、活動の到達点について合意できる点があれば文書で確認し合って、支援に生 かそうと思います。執行委員会では多様な意見が出され、この資料の文案を練り上げていく中で、認識が 深まりました。議論を深める素材として、この資料が活用されることを願っています。

「全面勝利」に導いた勝因
Q:組合は今回の仮処分決定を「全面勝利」と評価しています。最大の勝因としては、何を挙げますか?
A:解雇事由が全く無かったの一言に尽きます。三教授は職責を忠実に果たしただけです。むしろ、少数 意見に十分配慮して、慎重に採用人事を進めています。懲戒解雇は、退職金も支給されず、一生職に就 けない、もっとも苛酷な処分ですから、判例でも解雇権の濫用が厳しく禁止されています。

Q:処分が不当でも、三教授を支える組織がなければ、処分の無効を訴えることすらできません。支援活 動で特筆すべき点があれば、挙げてください。
A:「委員会や教授会での発言や議事運営が、どうして懲戒の対象になるの?」「研究生命を奪い生活の 糧を絶つ懲戒解雇は、あまりにもひどすぎる!」この学内世論が5月以降収入を絶たれた三教授の生活 を支え、支援の輪を広げました。
  今回の解雇は、全国の大学関係者に大変な衝撃を与えました。「鹿国大の解雇を絶対に先例とさせて はならない」とのうねりが全国に波及しました。
「仕事の上での言動が懲戒の対象とされると、リストラの嵐を加速しかねない」との危機感が広がり、連合 や全労連などの労働団体など27団体が県の守る会に結集しました。このような世論の盛り上がりは、仮 処分決定にも反映されたと思われます。
Q:当事者の原告・弁護団の活動について、審尋の流れに沿って紹介してください。
A:三教授は学内立入りが制限されるなかで、膨大な陳述書を書きました。2年余り前の記憶をたぐる辛 苦は想像を絶するものがあります。4月5日の仮処分申立以降、審尋は4回行われましたが、口頭弁論も なく、5分から長くて10分で終了するあっけないものでした。一方が新たな準備書面や陳述書を提出する と、他方がこれに直ちに反論する文書合戦でした。理事会側は資料を独占し職員を配属できるのに比 べ、大変な苦労をしました。
 仮処分決定は2回目の審尋が終った7月の予定でしたが、京都の弁護士が加わって全面的な反論をし たいと言って一度延び、さらに本件に直接関係ない背景説明をしたため又延びました。理事会側の主張 をことごとく論破して全面勝訴に導いた弁護団の力には敬服しました。

主要な争点に対する裁判所の判断
Q:解雇には全く理由が無いばかりか、手続上も違法です。ところが、決定はこの点については全く触れて いません。どうしてでしょうか?
A:決定は、「懲戒解雇事由に該当する事実は認められないから、その他の点について検討するまでもな く、本件懲戒解雇は無効であるといわざるを得ない」と述べています。「解雇事由が無いから、手続の当否 を検討するまでもない」との判断です。
  教授会や大学評議会で審議されていないうえ、就業規則で定められた労働基準監督署長の認定も受 けていません。解雇が手続上も違法であることが明らかですから、その面からも解雇が無効であることは 言うまでもありません。
Q:教員選考委員会の委員長を努めた田尻氏について、理事会側の書面では、主査の反対をくつがえす 目的のもと、委員会審議の継続再会にふみきり、飽くまでも科目不適合性を理由に反対意見を表明する 主査に対し、「主査を降りるよう」迫ったり、「副査の書いた業績報告書に主査も連名するよう強要した」う え、馬頭氏と一緒に大声をあげて主査を詰問したとされています。決定はどのように認定しましたか?
A:主査を努めた教授は、最終候補者との面接のあとの第4回委員会で反対票を投じ、「人事管理論」の 担当としては不適格と言い出したとその時初めていうのが、原告団の主張でした。主査の陳述書は、第3 回委員会で「労使関係論」についても不適格であると主張したと述べていますが、仮処分決定は「主査が この時点から労使関係論についても疑問を呈していたというのは、同委員会の議論の流れ等から不自然 であり、採用しない」と判示しました。
 委員会で採決したにもかかわらず、その結果を教授会に報告せず、その後4回も委員会を継続した手 続きについては、まず「教員選考規程14条」は「委員長は審査の結果をすみやかに教授会に答申しなけ ればならない」と「採決の結果」ではなく「審査の結果」とされているので、「採決後、合理的な理由がある場 合に、相当期間審査を
継続することまでも禁止しているものとは解されない」。「主査に対し、主査を降りるように迫ったり、副査 の書いた業績報告書に連名するように強要したとの事実はいずれも認められない」。「債権者田尻又は債 権者馬頭が大きな声を出したことは窺えるが、強要等が行われたとまで認めるに足りない」と認定しまし た。
Q:今回の解雇をめぐる重要な争点は、この委員会運営をどうみるかにあります。委員会が「特定の候補 者を採用する目的」を持っていたか否かについて、決定はどのように認定しましたか?
A:決定は、継続後の委員会の流れを適格につかんでいます。第5回委員会で「候補者の論文を更に7本 追加して」「再審査することとなったこと」。第6回委員会で「主査が委員会の意向を踏まえて業績評価書を 作成することを拒否したため、馬頭副査が作成することとなったこと」。第7回委員会で「主査が上記要望 をいずれも拒否したため、副査単独で業績評価書を作成することとなったこと、教授会に対し、主査が文 書による報告を行うことは認められなかったが、口頭で述べることは了承されたこと」。
  以上の事実を認定したうえで、決定は次のような結論を下しました。「債権者田尻が投票による採決の 結果が出た後も審議を継続しようとしたことは認められるが、候補者の業績を更に検討しようとの意図の 下に行われたものであると認められ、債務者主張のように、採用候補者の採用が危うくなることを恐れ、 主査の反対をつくがえす目的があったとの事実を認めるに足りる疎明資料はない」。「債権者馬頭につい ても、上記の事実を総合すれば、債権者田尻の不適切な委員会運営を支援し、主査に対して辞任や評価 書への連名を強要したとの事実は認められず……」、両氏とも「懲戒解雇事由としての、本件就業規則38 条2号に該当するとまで認められない」。

Q:経済学部長であった八尾氏は、「経済学部教授会規程」で定められた手続に従って人事案件を決めた だけです。これがなぜ懲戒事由にあたるのか、不思議です。社会通念に照らせば、非は八尾氏にあるの ではなく、退席した方にあるのが常識ですが……。
A:決定は実に簡単明瞭です。「本件教授会の運営については、……主査に資料を配付させて詳細な報 告をさせる等しており、債務者が主張するように、本件教員選考委員会報告を是とする方向で、議事を運 営し、強引に投票に持ち込もうとしたり、主査を含む教員7名が退席する等紛糾する中、投票を強行した との事実は認められないのであって、就業規則38条2項に該当する事実はない」と判断しています。

Q:理事会準備書面では、八尾氏が大学院と新学部の開設準備委員会の席上、しばしば財政問題を議論 して議事を妨害したこと、学外者に経営計画を批判する書簡を多数送付したことが、服務規律を定めた就 業規則36条(遵守事項)と37条(服務規律)に該当すると主張していましたね? 決定はどのように認定し ましたか?
A:決定は次のように判示しています。「いずれも本件大学の改革事業の妨害を図ったものであるというこ とまでを認めるに足りる疎明資料はなく、……懲戒解雇事由としての就業規則に該当するとまでは認めら れない」。「学外者に書簡を送付したことも認められるが、その内容について、特段問題とすべき点は認め られない」。

Q:以上見てきたように、全面勝訴となりました。ただ、腑に落ちない点があります。それは、給与仮払い が平成14年10月から1年間に限定され、今年4月分は解雇予告手当として支給されましたから、5月から 9月までの仮払いが認められなかったことです。
A:仮払いは本来本訴期間中の最低生活を保障する性格を持つものです。勤務実態がない点と相殺しま すから、給与総額の6割前後が相場です。本決定は昨年度の給与総額を12等分して、毎月20日に支払え と命じたことは画期的です。仮処分決定が長引いた点を考慮すれば、申立どおり5月以降5カ月分の給与 は支給されてしかるべきです。バランスをとったのかもしれません。
  なお、今は裁判の迅速化が司法改革のテーマに上り、最高裁も訴訟促進を図っています。今回の事 件は解雇理由を全く見出せないケースですから、本訴に入っても1年以内には決着が付くと判断したので しょう。なお、1年以内に終結しない場合は、給与支払いの仮処分の申立をします。

仮処分決定が判断しなかった争点
Q:今回の仮処分決定は、懲戒解雇事由に該当する事実が認められるかどうかに論点を絞り、見事なま でに首尾一貫しています。「その他の点について検討するまでもなく」「懲戒解雇事由に該当する事実は認 められない」ので「本件懲戒解雇は無効」との論旨です。最大の争点と思われた採用候補者の科目適合 性については、双方が争った事実を確認するにとどめ、判断を回避したと理解できますが……。
A:判断を回避したというより、不要との立場です。採用候補者が「労使関係論」と「人事管理論」の二科目 を担当可能か否かは、学問の世界の話です。司法が介入すれば、学説を裁断することになります。同じレ ベルで、科目適合性に係る学術論争を労使間の雇用問題に仕立てた立論そのものが間違っているので す。
Q:「労使関係論」と「人事管理論」の二科目で公募しておきながら、教授会には「労使関係論」の教授とし て推薦したことは、「職務上の権限をこえ、又は権利を濫用して専断的な行為をすること」に該当するとい うのが、理事会が一番言いたいことでしょう。
A:公募文書では、担当科目は「人事管理論および労使関係論」です。選考委員会で採用候補者の業績 を審査したところ、「労使関係論」に関しては優れた業績があるので「労使関係論」の教授として推薦した までです。「人事管理論」については、採用候補者にも面接で確認の上、教授会で「担当可」と口頭で報告 しています。理事会側は「人事管理論」の専門家ではないと繰返し主張しましたが、応募の段階で二つの 学問分野にわたる専門家はいませんでした。

Q:双方の準備書面と陳述書の応酬をみると、採用候補者は「人事管理論」を担当できるか否かに焦点が 移った時期があります。その結末は? 
A:採用候補者には大変失礼なことですが、この分野の著名な複数の専門家に当人の業績を読んでもら い、「人事管理論」の専門家として立派に通用するとの陳述書をいただきました。経済学部経営学科の 「労使関係論および人事管理論」と科目名を変更する前の「経営労務論および賃金管理論」を担当してい て、今は札幌学院大学に転出した前任者から、「採用の時点で私は賃金管理論に関する業績は一本もあ りません」との陳述書もいただきました。なお、この前任者が昭和59年に採用されるにあたって「業績評価 報告書」を書いた人は、今回の主査です。

Q:公募科目と実際に担当する科目に関する業績との間にズレがあるとすれば、これは正さなければなり ませんね。
A:それは理想論です。それを言うのであれば、「労使関係論」の専門家と「人事管理論」の専門家の二名 を採用しなければなりません。多くの私学では、専門外の科目を二つも三つも持たざるを得ないのが実情 です。仮処分決定は、第7回委員会で田尻委員長作成の報告書原案について審議した内容について、次 のように述べています。「候補者を『労使関係論』の教授として推薦する旨の記載があったため、主査から 公募科目と異なるとして懸念が表明されたが、主査以外の委員からは、過去に同様の前例があるとして、 上記記載が承認された」。私たちは私学経営の実情も考慮に入れ、可能な限り多くの科目を担当できる 候補者を選考してきたというのが実体です。

仮処分と本訴の関係
Q:まず、仮処分の性格を本訴と対比させて解説してください。
A:今回の解雇について、理事会は正当と言い、三教授は不当と争っています。どちらの言い分が正しい かは、本案訴訟で決着を付けねばなりません。ところが、本件の解雇事件のようなケースでは、提訴から 判決までの間、解雇された状態では生活にも困りますから、対等に本訴で争えるよう暫定的に仮処分とい う裁判上の手続で仮の地位を与えましょうというものです。

Q:仮処分は本訴が前提ということは分かりました。そうしますと、本訴で負けたら、受け取った金は全額 返還しなければなりませんか?
A:仮処分決定の主文の第2項は、「債務者は、債権者○○に対し、各金○○○円を、いずれも平成14年 10月から平成15年9月までの毎月20日限り、それぞれ仮に支払え」と記載されています。仮払いですか ら、本訴で負ければ雇用契約上の権利を有する地位を失い、金品を取得する根拠も失います。これは不 当利得ですから、全額返還することになります。
Q:仮処分はその手続の性格上、迅速に処理して命令すべきです。今年4月5日の申請から9月30日の処 分命令まで半年も経過しています。
A:仮処分命令は8月3日に予定されていましたが、審尋再開の申請があれば、裁判官としては言い分を 聴かざるを得ないようです。理事会側が申請した第4回の審尋は、従来の主張の繰り返しと本件に直接 関係ない背景説明でしたから、処分命令の引き延ばしの意図を感じました。9月6日付の5回目の理事会 側の再開申請は、認められませんでした。

Q:「審尋」という言葉に接したのは、初めてです。仮処分申請人を「債権者」、被申請人を「債務者」とむつ かしく呼ばずに「原告」「被告」でよさそうなものです。裁判に係る用語を整理して解説してください。
A:審尋とは、当事者又は利害関係人に書面又は口頭により無方式で陳述の機会を与えることです。仮処 分手続では、裁判官の判断により、書面審理、審尋、口頭弁論を選びます。今回は口頭弁論を開かずに 行いました。民事訴訟で訴訟を提起して裁判を請求する当事者を「原告」と呼びます。仮処分では訴訟請 求者ではないので、「原告」とは言えません。私たちは本訴を見据えて「原告団」と呼んでいます。「債権」 は、相手方に対して一定の給付を請求し、これを実行させる権利です。「雇用契約上の権利を有する地位 を認め、金品を支払え」と請求していますから、三教授は「債権者」です。これから本訴に入りますから、三 教授は「原告」となります。民事訴訟では、法廷で裁判官の面前で行う弁論を「口頭弁論」と呼び、刑事で は一般に「公判」と呼びます。刑事では原告の弁護士を「弁護人」と呼びますが、民事では双方の弁護士 を「訴訟代理人」と呼びます。

仮処分後の自主解決を目指す活動
Q:仮処分の内容から判断すれば、理事会は自主解決に応じるべきですが?
A:「学園はこれ以上恥を暴らしてほしくない」との願いに応え、組合は自主解決を求め団交を申し入れま したが、理事会は団交開始にあたって組合規約、役員名簿、組合員名簿の三資料の提出を求めてきまし た。組合新規約は短大部と統合した昨年の第一回総会の折に提出していますし、組合役員名簿は組合 ニュースで紹介しています。組合員名簿は平成6年の最高裁判例でも使用者が組合の概要を把握してお れば必要ないとの判断です。再度の団交申し入れも再び提出を求めてきたため、理事会は自主解決の 道を自ら閉ざしたものと言えます。
Q:理事会は、10月25日付「処分通知書」で、新たな解雇の予告をしてきた意図は何でしょうか?
A:懲戒解雇無効の判決が出ても、普通解雇で解雇を継続しようというものです。不当解雇を強行しておい て、これを撤回する活動を解雇事由にしようとしていますから、自主解決の道は遠のきました。

Q:組合は、自主解決の道も追求すべきではありませんか?
A:組合は昨年来、一貫して自主解決を求めてきました。理事会が望むならば、原告団は訴訟を取り下げ て自主・円満解決に応じると、団交申し入れ書で通告しています。その条件として組合は三氏の了解を得 て、解雇撤回、原状回復、未払い賃金の全額支給、三氏への謝罪と名誉回復措置を要求しています。学 内外世論を盛り上げ、地労委の斡旋や救済申立も活用して、早期に団交に応じさせて、自主解決へ理事 会を追い詰めましょう。

Q:ところで、10月2日付学長見解には驚きました。研究室以外の立入禁止の措置は許されるものでしょう か?
A:決定主文は「研究室をそれぞれ利用することを妨害してはならない」となっていますが、「解雇の原因が 当初から存在しなかった」というのが、解雇無効の決定理由です。解雇以前の状態に復帰すると理解する のが常識です。この件については、11月9日に続けて11月15日に不当な措置を直ちに撤回するよう学内 交渉を申し入れました。理事会の強硬な態度から、解決にはかなりの困難が予想されます。学内の世論 を結集する一層の取り組みが必要です。

本訴の完全勝利を目指す
Q:原告代理人は、11月19日鹿児島地裁に訴状を提出して、いよいよ本訴に入りました。訴状の内容を紹 介してください。
A:「原告らと被告との間に雇用契約上の地位があることを確認する」ことが中心です。他には、未払い賃 金の全額支給と訴訟費用の被告負担を請求しています。10月25日付で予告された普通解雇の無効も求 めています。

Q:本訴では、どのような手続で進められるのでしょうか?
A:訴状に対して理事会代理人から答弁書が提出され、口頭弁論が数回行われて結審します。双方の証 人も出廷して証言します。裁判は公開ですから、傍聴を呼びかけます。

Q:本訴での見込みはどうですか?
A:判決は裁判官の自由な心証に委ねています。仮処分で勝ったからといって、本訴で勝つとは限りませ ん。仮処分で提出されたすべての書類は、本訴でも受け継がれると聞いています。仮処分命令を出した 裁判官が本訴でも担当するとなると、予断を持つことになり、公平な裁判の原則に反することになりますか ら、本訴では裁判官は替ると聞いています。

Q:本訴支援の活動を強める上で、福原学園の教訓はぜひ生かしたいですね。11月22日の学習会で何を 学び取ればよいのでしょうか?
A:福原学園は、配転解雇、配転、賃金未払い、外国人教師契約更新拒否という4つの性質の異なる6人 の事件を闘い、理事全員を総退陣させ、完全勝利を収めました。福原学園は、本学と異なる側面がありま した。それは、理事会の乱脈経営です。38億円の使途不明金、25億円の自動車教習所移転・開発疑惑、 20億円の海外投資疑惑などが絡んでいました。組合は保護者と学生への説明会を開催し、学生が学園 に対し使途不明金に関する説明を求めて4000人の署名を提出しています。スト権を確立し、2000人規模 の全学総決起集会も開催しています。単純に比較はできませんが、思い付く限りのあらゆる抵抗をした理 事会を、世論の力で包囲していった福原学園の闘いに謙虚に学ぶべき点は多々あります。

Q:組合は私たちに具体的な行動提起もしていないではありませんか? 私たちにできることは何かありま せんか?
A:執行委員会は、これまでも組合総会やフォーラムで出された組合員の意見を支援の活動に反映してき ました。生活支援カンパには組合員でない方も協力いただき、貸付資金にも多くの組合員が出資していま す。具体的な行動提起については、皆さんの提案を生かして提起していきます。皆さんの支援と協力を引 き続きお願いします。