@馬頭教授の処分事由の内容(−省略−) A これらは、全く処分事由にはあたらない。申請人馬頭は、教員選考委員として自己の見解を述べ、委員の 職責を忠実に行っただけのことである。委員会は採用候補者を適任とした。ところで、主査は「否」の意見であ
ったことから、前述の通り業績評価報告書は作成できないと述べたため、やむなく副査であった申請人が同報 告書を作成した。このように、「主査報告に代わる業績評価報告書を作成」することは審議の経過においてあり
うることである。これに対し、被申請人は、実際には「人事管理論」、「労使関係論」いずれも不適格であったの に「労使関係論」の担当教授に適任であるとしたことは「業績評価報告書」の虚偽記載にあたるとしているが、こ
れは名誉毀損も甚だしいものである。なぜなら、選考委員会において各委員は採用候補者の履歴、業績すべ てに基づいてそれぞれの意見を述べ結論を出したものだからである。この結論に対し、被申請人が不適格であ
ったなど一方的に決めることではない。もし、真に不適格であれば、最終判断は教授会でなされるのであるか ら、これにより是正されるだけのことである。それが大学の自治である。選考委員会が自主的に判断したことを
もって、これが誤りであると決めつけ、懲戒事由とされるのであれば、もはや民主主義はない。また、選考委員 会の意味など全くないことになる。申請人馬頭が委員の職責を全うしたことが懲戒解雇の事由になるなど、まさ
に前代未聞のことと言わなければならない。 |
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第6 申請人馬頭について 1@ 同人に対する懲戒解雇事由は、申請人田尻とほば同様である。すなわち「馬頭は選考委員会の副査であ ったが、公募科目は『人事管理論および労使関係論』であったにも拘わらず、公募形式の採用人事において、
選考委員会だけの審議により、担当科目の人事管理論を削除して『労使関係論』のみで採用を可とすることは 手続上の瑕疵に留まらず著しく社会的公平性を欠き、大学の社会的信用を低下させ、名誉を傷つけるものであ
るところ、馬頭は主査の意見を無視し、あえて教授会に提出する研究業績評価書を作成した」というものであ る。 2@ 被申請人は「採用候補者の業績については客観的に見る限り『人事管理論』はもとより、『労使関係論』と しても不適格と判断せざるをえず、仮に馬頭がそのことを承知の上で業績評価報告書を作成したとすれば、就
業規則38条2号はもとより、同条1号の『職務上の地位を利用し、白己の利益を図ることにも該当する』」と主 張している。 3@ 被申請人は、馬頭が田尻の不適切な委員会運営に加担したと述べ、「選考委員会では『公募科目内容を 勝手に変更した』『委員会としての結論は第4回委員会の投票で一旦出されたにも拘わらず第8回まで延長して
主査の反対意見を変更させようとした』『主査に辞任を強要し、あるいは副査の作成する評価書への主査の連 名を迫った』こと等、大学の教員選考委員会としては概そ考えられない不当な議事運営がなされており、馬頭も
一貫して委員長の不適切な議事運営を支持し、特に主査に対する辞任や評価書への連名の強要については、 馬頭自らも積極的主導的な役割に加担しており、これらの行為は就業規則38条2号に該当する」と述べてい
る。 |
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三.懲戒解雇事由の不存在 1 債権者田尻、同馬頭に対する解雇事由の不存在 |
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