2002年4月2日午後、県庁で行われた記者会見で馬頭教授が読み上げた声明文

 

 
2002年4月2日午後、県庁で行われた記者会見で馬頭教授が読み上げた声明文

今回の処分、懲戒解雇は、常軌を逸した行為であり、これに強く抗議します。

 教員採用に係わって「公的な文書」に「虚偽記載」をしたというような、「不正」のそしりを受ける事実は一切ありません。教員選考委員会の判断については、間違いがないことを確信しています。

 したがって、そうした理事会の判断は、偏見と曲解にもとづくもので到底承服できるものではありません。私たちは、学則、大学運営に係わる諸規定と手続にそって教員選考をしてきました。

 5人の委員で慎重に審議し、面接をした上で票決を行い、3分の2以上の多数決で採用候補者を決定し、委員会として教授会に推薦しました。さらに、教授会においてこの案件が審議され、投票の結果、3分の2以上の多数決で可決されました。

 しかし、この教授会の決定に不満をもつ少数の教員が菱山学長に「上申書」を提出し、学長はこれを即座に受理するばかりか、学部長にも、この委員会の委員長にも何ら事情を聞くことなく、採用候補者に不採用の通知をしました。まったく信じられないことです。

 さらに、その後、大学当局は、理事会のもとに調査委員会を設け、私たちの都合に配慮することなく、事情聴取をし、聴聞を行い、懲戒解雇を通知してきました。

 この間、上申書の内容や調査委員会の審議内容などについて、私たちに知らされることもなく、教授会の審議に付されることもなく、突然、懲戒理由書および通知書を送りつけ、一方的に処分を通告してきたのです。

 教授会や委員会における教員の言動をとらえて、就業規則上の懲戒の対象にするのは前代未聞であり言語道断のことです。学問の府たるべき大学において、あってはならないことです。

 さらに、理事会は、私たちの名誉を著しく傷つける内容の文書を全教職員に配布するというきわめて非常識なことを行いました。今後、地位保全の仮処分を裁判所に申請するとともに、理事会に対して、この処分の撤回と謝罪を強く求めていきます。

2002年4月2日


                   鹿児島国際大学教授  田尻 利
                       同      馬頭忠治
                       同      八尾信光


 
 

 

 

 

 

 
支援者へのメッセージ

鹿児島国際大学三教授を支援する全国連絡会の皆さんへ

この度の津曲学園による不当解雇は、教育権、大学の自治を侵害する重大な事件です。

大学教員として、学内の規程に基づき、また、学問的に判断した教員採用に関わる委員会での言動あるいは委員が作成した文書(業務評価報告書)が処分の対象となり、懲戒解雇にされたのです。学問の府においてあってはならない蛮行としか言いようがありません。

こんな仕打ちを受けるいわれは全くありません。何故なら、教員選考委員会でも、教授会でも、反対意見はありましたが、十分すぎるほど議論をしましたし、また、委員会、教授会で承認された案件だったからです。

そうした民主主義的な手続きを取った教授会の決定に対して、それを不服とする一部の教員は教授会を退席し、「上申書」(非公開)を菱山泉学長に提出するという実力行使に出ました。さらに学長は、委員会の委員長や学部長から何ら意見を聴取することなく、一方的に理事会のもとに調査のための委員会を設置し、外部審査を取り入れ、弁明聴聞の機会をもつなど、一応の形式をとり、あたかも公正な判断をしたかのようにした上で、懲戒処分を行ってきました。しかも、教員選考委員会で可を投じた4名全員に対してです。その内、委員長と副査の2名には懲戒退職、一般委員には減給、残る一般委員は審議中にし、さらに、それを審議した教授会の議長であった学部長まで懲戒解雇するというものでした。全くの恐怖政治としか言いようのない津曲学園理事会および菱山泉学長の独裁的体質こそが糾弾されるべきです。

20年、あるいは30年を越えて勤めてきた者を懲戒解雇しておいて、「就業規則に抵触するということではない」(『南日本新聞』2002年4月2日夕刊、記者会見での理事発言)と平気で言い切る理事会の感覚は異常です。「就業規則に抵触することのない」懲戒解雇の理由がそもそも他にあるとは思えませんが、理事会が言うには、教員選考委員会の意思に従って副査が書き、教授会に提出した「業績評価報告書」に「虚偽記載」があったこととそれに協力したことが懲戒解雇理由だそうです。

さらに、理事会が言っている「虚偽記載」の内容とは、「労使関係論」という科目に不適格な者を適格者だと判断したことのようですが、私たちが委員会として教授会に推薦した採用候補者は、社会政策や労働問題という分野などで長く研鑚を積んでこられ、多数の研究業績をお持ちの現職の国立大学教授でした。

どう考えても、虚偽だとそしりを受けるものはないのです。にもかかわらず、私たちは個人の名誉を傷つけられ、研究者生命を奪われました。さらに家族にまで苦痛を与え汚名を浴びせられたのです。絶対に許せるものではありません。

私たちは4月4日に地位保全の仮処分を鹿児島地方裁判所に申請しました。これから本当の闘いが始まります。どうか皆さんのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

2002年4月6日 
田尻利、八尾信光、馬頭忠治