裁判所には提出されていない書面
 
全教職員に対する懲戒処分の告知書

 

 

 

 

 

2002(平成14)年3月29日鹿児島国際大学教職員
(氏名削除)    殿


告知


学校法人津曲学園理事長 津曲貞春(公印省略)
鹿児島国際大学学長   菱山 泉(公印省略) 

 学校法人津曲学園理事会におきましては、2002(平成14)年3月31日付けをもって、鹿児島国際大学の教 職員4名を下記のごとく懲戒処分とすることに決定しましたので、鹿児島国際大学教職員各位に対して告知い たします。懲戒処分に至る経緯・懲戒理由等については、添付別紙(A4判2枚)をご参照ください。
 なお、被処分者4名のうち「懲戒退職」とした3名につきましては、今後、許可なく鹿児島国際大学構内・津曲 学園施設内に立ち入ることを禁止してありますので、教職員各位におかれましてもその点充分に承知のうえ、 各自適切に対応されるよう申し添えます。

記被処分者の職氏名・処分内容
1.鹿児島国際大学経済学部教授 田尻 利
  懲戒退職
2.鹿児島国際大学経済学部教授 馬頭 忠治
  懲戒退職
3.鹿児島国際大学国際文化学部教授 亀丸 政弘
  減給6カ月
4.鹿児島国際大学経済学部教授 八尾 信光
  

懲戒退職懲戒処分に至る経緯

 1999(平成11)年度の経済学部公募採用人事「人事管理論および労使関係論」に関する教員選考委員会(以 下「委員会」)において、田尻、馬頭、亀丸3教授は、それぞれ委員長、副査、一般委員として審議に加わった。 この3名のほかに、主査として教授1名、一般委員として助教授1名が加わり、計5名で委員会を構成したが、 後者の助教授は、採用候補者が教授該当としてしぼられた第4回委員会から、経営学科の教授に交代した。
 当委員会においては、採用候補者を1名にしぼる過程のなかで、公募書類に記載された2科目のうち、「人事 管理論」を削除し「労使関係論」だけでも採用を可とする方向で審議がなされた。第3回委員会までに採用候補 者を決定し、第4回委員会で面接のうえ5名の委員による投票がなされたが、その投票において主査が科目不 適合を理由に「否」を投じた。他の4名が賛成票を投じたために、4対1という結果となった。
 その後、委員会は第8回まで延長して審議が行われたが、そこでは主査に対して、副査と交代すること、ある いは、副査の書いた業績評価書に連名することを迫るなど、不当な議事運営が行われた。
 2000年(平成12年)2月22日の経済学部教授会で教員選考委員会からの報告がなされたが、「公募採用科目 が2科目から1科目に変更されていること」「業績評価報告が主査でなく副査によって書かれていること」「委員 会が投票結果をただちに教授会に報告しなかったこと」などの不当性を理由に、7名(上記委員会の主査を含 む)の教員が教授会を退席し、この7名から理事長および学長に対して、この問題について厳正な調査と適切 な措置がとられるようにとの上申書が提出された。
 これを受けて、理事会のもとに「大学問題調査委員会」が設置され、関係者からの聴聞や、2名の外部評価 委員による採用候補者の業績評価が行われた。さらにまた、大学評議会のもとに「採用人事調査委員会」を設 置し、3名の大学院教授を選任して採用候補者の業績評価を依頼した。以上のような調査結果から明らかにな ったのは、採用候補者となった人の業績は、「人事管理論」はもちろん「労使関係論」についても科目不適合で あり、副査が作成した「労使関係論の担当教授として適任」とする業績評価報告書は「重要な公的文書の虚偽 記載である」と断定せざるを得ない。教員選考委員会は、このような副査の業績評価報告書にもとづいて、採用 候補者を「労使関係論」の教授として教授会に推薦した。
 上記採用人事が審議された時点(2000年2月22日)において経済学部長であった八尾教授には、委員会運営 の不当性を指摘する多数の教員の意見を無視し、あくまでも採用を可とする委員会の報告に沿った形での議 事運営を行ったという点で、教授会審議を誤った結論に導いた責任がある。
 しかし、さらに同教授の場合は、@学部長として参加していた大学院開設準備委員会および新学部開設準備 委員会において、教学の一責任者でありながら一貫して経営問題に介入し、開設準備委員会の議長であった 学長の指示に従わず議事進行を妨げたこと、A学長を補佐すべき学部長としての責務を果たさなかったばか りか、学園の方針として理事会で決定された新学部(国際文化学部)の設置を否決した経済学部教授会の越権 的審議を主導したこと、Bそれら大学院・学部新増設の計画について、(その誤りが事実によって後に明らかに なった)赤字予測の恣意的データにもとづく文書を作成し、繰り返し学内外の多数者に送付したこと、Aこのよう な的はずれな予想にもとづき学長に私信を送り辞職を促したこと、D自らの予測が間違いであったことが明ら かになった現在でも、それを反省する態度が見られないことなどからみて、その責任は極めて重く厳重処分に 値すると認められる。


処分の決定

 以上の事実にもとづき、学校法人津曲学園は平成14年3月29日の理事会において、八尾教授、田尻教授、 馬頭教授については「平成14年3月31日付けで懲戒退職処分」とすること、亀丸教授は「減給6カ月の懲戒処 分」とすることを決定した。
処分理由の骨子
 八尾教授と他の3教授との間には懲戒処分の内容に相違する面がある。3教授は採用人事にかかわる教員 選考委員会での言動に懲戒対象となるべき理由があり、それに限定されるが、八尾教授の場合は、上記のよ うに審査教授会の議長としての不条理な行為のほか、理事会の主要業務である経営への持続的介入・理事会 決定事項の教授会での否決など学部長としての越権的行為、また、根拠薄弱な経営予測文書の作成・配付や 学長に対する辞職の催促など無責任な言動について、懲戒対象となるべき少なからざる理由があり、その処分 の程度は極めて重いと判断される。
 田尻教授の場合、教員選考委員会運営に関して最高の責任があり、その委員会が公募科目を勝手に変更し たこと、一事不再議のルールに違反して投票後にも委員会を継続したこと、主査と副査の交代を画策したこと、 科目不適合が明らかな採用候補者を教授会に推薦する方向で審議を進めたことなどについて、委員長として 重い責任が問われねばならない。馬頭教授の場合、公募科目に近い専門委員として副査の任にありながら、 採用候補者の業績評価(重要な公的文書)について「虚偽記載」を行ったという点で、その責任は、大学人とし ての存在理由を喪失させるほど重大である。
 亀丸教授は、公募科目と関連のない一般委員として委員会に参加した。そのために委員会審議の形式的側 面にしか関与していない。その過失は、委員会の延長審議や主査と副査の交代等について、委員会の多数派 に同調して誤った方向に加担することになった、という点にある。しかし、同教授は弁明聴聞に際して反省の意 を表明しており、情状酌量の余地がある。


追記
 なお、教員選考委員会に加わり、投票に参加している上記委員以外の一名の委員についての処分は現在審 議中である。